値上がりしていく欧米の住宅
日本では、新築住宅に比べて中古住宅は人気がなく、日本の家は短命だと言われています。それに対して、欧米では築50年、100年といった住宅が当たり前のように売買されています。これは、古いとか新しいといった視点より、住宅そのものの価値が認められているからです。住宅は高い買い物ですから、中古住宅を含めた多くの選択肢の中から選びたいものです |
ところが、日本の不動産市場では、ごく稀なケースを除いて中古住宅の価格が新築時を上回ることはありません。立地条件や周辺環境が格別にいいマンションで、販売後一時的に値上がりしたという話は聞いたことがありますが、長期に渡って値上がりし続けていくという話は、あまり聞いたことがありません。
古いと住宅ローンが借りられない?
こういった状況では、中古住宅の人気が高まるはずはありません。しかも日本では、中古住宅より新築住宅を買うほうが、いろいろな面で有利なことが多いのです。例えば、住宅ローンを例にとってみましょう。築70年超!パリのアパルトマンに学ぶでも、住宅ローンの話が出てきましたが、築70年超の物件でも、住宅ローンを借りることができました。これはフランスだけでなく、イギリスやアメリカでもほぼ同じ傾向。築年数が古いことよりも、家の程度のほうがローン審査で重視されるようです。
けれども日本の場合は、築70年の建物に融資をしてくれる銀行がみつかるかどうか、かなり疑問ですね。築70年の一戸建ての場合だと、古家付きの土地として判断され、土地に対して融資が実行されることになりそうです。
税制も不利な中古住宅
さらに、中古住宅は新築住宅に比べて、購入時の特例措置の面でも不利な点がいくつかあります。住宅を買ったときには、登録免許税や不動産取得税がかかりますが、一定の条件を満たせば、新築の場合すべての住宅が受けられる特例によって、かなりの金額が控除されます。しかし、中古住宅の場合は、新築の際に関わる条件に加えて、築年数が関係してきます。登録免許税や不動産取得税の特例を受けるときの築年数による条件では、木造の場合は築20年以内の建物(非木造のマンションなどは25年以内)でなければ控除が受けられません。しかも、建てられた時期に応じて控除の金額が減っていくため、築浅の物件のほうが控除される金額は大きくなります。つまり、築浅の住宅のほうが控除される金額は少なく、あまり古い住宅だと控除は受けられないということなのです。ただ、新耐震基準を満たしていれば、控除の対象になるので、古い物件の購入を検討するときにはこの点がポイントになってきます。
次のページでは、中古住宅の評価と税制の関連について説明していきましょう。