長期優良住宅/長く暮らせる家

老後も自宅に住めるリバースモーゲージ制度(2ページ目)

民主党のマニフェストにも掲載されている、リバースモーゲージという制度をご存知ですか? アメリカでは高齢者の生活を支援する制度としてかなり活用されているようです。どんな制度なのか見ていきましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド


普及を妨げる障害とは?

日本でこの制度が普及しない理由はいくつか考えられます。

ひとつめは、金融機関など融資をする側のリスクが大きいこと。仮に融資を受けた人が長生きをすると、融資金額の増加にともない、担保物件の評価を上回る可能性が出てくるので、融資をする側からすると、どうしても消極的になってしまうわけです。

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古い住宅でも価値が認められる長持ちする家を建てなければなりません
アメリカでは、担保物件の評価を上回るケースでも資金を受け取れるように政府が関与した仕組みになっているようですが、日本では貸付限度額を定めることで融資側のリスクを回避するようになっています。このため、担保物件の7割とか8割といった限度額を超えると、融資もストップすることになります。

もうひとつは、制度を利用する側が障害を乗り越えられないこと。例えば、担保となる住宅の相続人である配偶者、子供や兄弟のだれか1人でも反対者がいると、なかなか利用に踏み切れない人が多いのです。

住宅の価値は土地の価値?

ところが、前述の2つの理由のほかにも、日本ならではの事情があると思います。

それは、住宅を担保にするとき、建物が古い場合はほとんど評価の対象にならず、土地の評価が担保価値として判断されること。この傾向はリバースモーゲージ制度でも同様で、原則として、土地の価値が担保価値となります。

しかも、日本ではバブル崩壊後、不動産の価値が急激に下がりました。担保となる住宅の評価も下がり続けたため、融資をする側はどこまで価格が下がるかわからず、参入する金融機関もあまり増えなかったのです。融資を受ける側も融資される資金が少なくなり、メリットが縮小してしまったわけです。

民主党の政権下で普及する?

実は、このリバースモーゲージという言葉は、民主党のマニフェストに記載されています。ですから、今後、この制度に政府が関与することで急速に認知度が高まる可能性があります。

しかし、古い住宅の評価が低く、担保としてほとんど評価されないという状況が変わらなければ限界があるかもしれません。

いずれにしても、基本性能がしっかりしていて、築年数を経ても住み続けられる家がもっと増えないといけないでしょう。これから家を建てる人は、年金や医療費負担に不安のある時代だからこそ、安心して豊かな老後を過ごすためにも、長く暮らせるという視点を忘れずに、家づくりをしてほしいと思います。
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