住宅健康診断書のある物件を選ぼう
中古住宅を検討するとき、もうひとつ重要なのは住宅検査の報告書のある物件を選ぶということです。大切にされた家は美しく味わいのある佇まいをつくり出します |
住宅検査には、民間の検査会社が行うものと、国土交通省に登録した機関が行う「既存住宅性能表示制度」に基づくものの二種類があります。
民間の検査会社が行うホームインスペクション
民間の検査会社が行う住宅検査は「ホームインスペクション」と呼ばれることもあります。建築の専門家が床下や小屋裏などに入り込んで建物をチェックしたり、特別な機械や器具を使って床の傾き、雨漏りの有無、シロアリの被害の有無などを調べて、検査報告書にまとめます。費用は、建物の規模や構造、建設地域などによっても違ってきますが、延床面積100m2の一戸建てで、5万~18万円とバラつきがあります。検査項目についても、検査会社によって違いがあり、シロアリの被害の有無や、非破壊検査用の機械を使わないと行えない検査項目をオプションにしている検査会社もあります。
住宅検査を依頼するときは、自分が希望する内容が含まれているかどうか、費用がどのくらいかかるのかどうか、これまでの実績などについて説明を受けた上で決断するとよいでしょう。
評価機関が行う既存住宅性能表示制度
もうひとつ、同様の効果が期待できるものとして、「既存住宅性能表示制度」があります。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づくもので、国土交通省の登録を受けた住宅性能評価機関の評価委員が共通の基準に沿って劣化の状況や住宅性能の評価をします。耐震等級3などというように、数値で判断できるので、複数の物件を比較するときにも役立ちます。
費用の目安は、延床面積100m2の一戸建てで約10万円。また、万一、検査を受けた住宅において、品質や性能に関するトラブルになった場合、指定住宅紛争処理機関が対応してくれるのもメリットだといえるでしょう。
住宅の価値や状況を客観的に判断できれば、売買後の瑕疵や不具合によるトラブルはかなり防げます。ですから、住宅履歴書や検査報告書があることは、買主にはもちろんのこと、売主にとっても大切なことなのです。海外では日本に比べて、このような第三者による評価書類が不動産売買のときに活用されています。日本でも、こういった書類を保管したり、用意することが当たり前のことになっていけばいいなと思います。
重要事項説明書は早めにもらっておこう
住宅履歴書と第三者による検査報告書という2つを備えた住宅を選び、いざ契約することになったら、重要事項説明書を早めに入手することです。不動産の売買契約をするとき、買主は契約前に、宅地建物取引主任者から重要事項説明書をもとに説明を受けます。
重要事項説明書には、敷地や建物、取引条件についての情報が書かれているのですが、専門用語や聞きなれない用語も多く、すぐには理解しにくい部分もあります。ですから、契約当日ではなく、できれば事前に重要事項の説明を受け、内容を確認しておきたいところです。先に説明してもらうのが難しい場合は、せめて重要事項説明書だけでも先に手に入れて、自分でできる部分は確認しておき、疑問点や質問したい項目を整理しておくとよいでしょう。