「キッチン離婚」からふたりを守る
「男子厨房に入りたい」で起こる夫婦の危機とその解決策
■男子が厨房に入る背景とは?
永年キッチンコンサルティングからデザイン設計の仕事に携わっていると、実に様々なカップルに出会うことがあります。
特に最近のお客様は、キッチン計画から積極的に参加する男性が増えてきたのが特長です。参加するというよりも“キッチンは俺が考える”という方さえ増えてきました。毎日のキッチン作業を、夫婦で役割分担しながら楽しもうというカップルが増えているのです。戦後60年が経ち、男女格差が解消されるとともに「男子厨房に入らず」という固定概念は払拭されてしまったように思われます。
女性の社会進出はますます加速度を高め、ついこの前まで成人女性の有職率は60%と言われていたのが、最近は70%以上ではないかと実感できるほど伸びています。その結果、日々の家事作業も夫婦で役割分担を行い、特にキッチン作業は男性が主体で行っているというカップルの方にあう機会が増えてきたのです。
“キッチン作業が趣味”と公言する男性の増加とともに、業務用のハイカロリーガスコンロを自宅のキッチンに採用する家庭もずいぶん増えました。今年10月からの「安全センサー付きガスコンロへの規制」が施行されるのに伴って、このような業務用コンロを一般家庭にそのまま採用する事は難しくなりますが、「男の料理」を求めるユーザーの要求はますます高まっています。
ところが、ここにまず落とし穴があります。
確かに男性にとってはキッチン作業は趣味性の高い家事の一つです。そしてハードウェアを充実させることで自己満足型のキッチンを作り上げようとします。オールステンレスのキッチンに業務用のガスレンジを組込むことは、その代表例でしょう。キッチン機器を充実させる、デザイン性の高い輸入機器を積極的に採用する傾向も強くなります。
しかし一般的に女性ユーザーは、キッチンにそこそこの機能は求めますが、むしろ収納や使い勝手の問題を重視したり、料理する過程を大切したりといった傾向が強くなります。
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