不動産売却・査定/買い換えの基本とテクニック

買い換え特約付き売買契約とは?

買い先行で買い替えを実現したい方には、強い味方の解除条件ですが、自宅の売却の見込が甘いと、思わぬプレッシャーを背負う羽目になりかねません。慎重な計画と賢い対応でスムーズな買い換えを成功させましょう。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド


自分の家はまだ売れてない。でも、この物件は買いたい。こっちは買ったのに、自分のが売れてなく決済できなかったらどうしよう?そんな消費者の心配に応えて、昭和60年代から良く使われるようになったのが、買い換え特約付き売買契約です。

新居を買い契約しても、ある期間内に自分の家が売れなければ、白紙解約出来ると言う特約条項です。買い換えの当事者にとっては安心して「買い先行」できるつよ~い味方です。しかし、あなたの取り引き相手である新居の売主にとってはつら~い条件です。売り契約をして売れたと喜んでいたら、白紙解約で「また、もとのモクアミ」となるわけですから・・・。

実際に自宅が売れないからといって、安易にこの解除条件で白紙解約するのは少数派です。なぜなら、あくまでも安心のために付けた特約であり、自分の家をどこまで下げれば売れるか、実際には把握していて契約する人がほとんどです。つまり、この買い換え特約付き契約を機会に本格的に売却に邁進するわけで、むしろ早く自宅を売却させるキッカケとして仲介業者は利用していると思います。

ですから、あんまり気楽にこの特約に頼ると、後でかなり辛い目に会うかもしれません。実際に売れないからと白紙解約する時はノーペナルテイーですが、契約の相手方や仲介業者のショックは大きく、相当な引き留め工作に面食らうはずです。専門家との十分な打合せなしに、安易にこの特約を使うと、こんなはずじゃなかったのにと、泣く泣く無理な買い換えを強行する事にもなりかねません。自宅の売却に目星がついていない方が、むやみにこの特約を使うことはお勧めできません。

どちらかと言えば、自宅を売ってから新居を買う売り先行のほうが、自然でリスクが少ないです。最悪の場合でも、賃貸で住む場所はいくらでもある日本です。まして、今はデフレ進行中、新居の買いが遅れても、手元の売却資金が目減りするような状況にはありません。
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