いい家を「つくって」「手入れして」「流通させる」
所信表明で住宅をテーマに「200年住宅ビジョン」を取り上げたのは福田首相が初めてといわれる |
200年といえば、人生70年としても3世代。子供や孫という親しい家族間だけでなく、他人にも安心して住んでもらえるよう、長くもつ良質住宅を市場で流通させ、それを促すための家の履歴書「家歴書」制度も検討されています。
現在供給されている住宅は60年以上の耐久性能があるとされていますが、実際には日本の住宅の多くは20~30年で壊されるのが現実。3世代200年にわたってもつ住宅を建てれば、各世代ごとに組んでいた住宅ローンの負担も軽くなり、資源節約でも大きな意味があります。
少しこれまでの経緯を振り返っておきましょう。「200年住宅」論議の発端となったのは、言うまでもなく2006年6月に制定された「住生活基本法」。少子高齢化や環境問題を背景に、「フロー(新築)重視」から「ストック(既存住宅)重視」に政策を転換させますよ、と明言した国家法です。
新築からストック重視へ大転換
(社)住宅生産団体連合会が発行している小冊子「What's 200年住宅? 住まいの長寿命化ってなぁに?」 |
戦後から継続された持ち家支援政策によって、今や総世帯数4700万世帯を住宅ストック数が700万戸上回る(つまり空家戸数が700万戸に達する)までに至った今、「戸数確保」から「質確保」へ政策の舵が大きくきられたのです。
そうした機運の中、住生活基本法施行後3ヵ月後の同年9月には、今後10年間の目標を掲げた「住生活基本計画(全国計画)」が定められ、2007年5月、自民党住宅土地調査会長(当時)だった福田首相が「200年住宅ビジョン」を提言。その後の政情で福田政権が誕生したことで、「200年住宅ビジョン」が「政策」としてにわかに現実味を帯びてきたというわけです。
次ページでは、具体的に「200年住宅」施策の中身を見ていきましょう。