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待ったなし!家もリサイクルで買う時代(下)

国の「200年住宅」構想に呼応し、住宅業界でも昨年から今年にかけて、「リサイクル住宅」「買取再生」「買取保証」などの動きが目立ってきています。その最新動向を紹介します。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

前回は、国が住生活基本法や長期優良住宅(200年住宅)などの政策で「長くもつ住宅」を推奨していくこと、それに呼応して住宅企業も中古住宅(ストック住宅)をリサイクルする事業に着手し始めていることについて紹介しました。今回の記事では2007年以降の最新動向についてお伝えします。

築20年、築29年の一戸建てがよみがえる!

エバーループ内観
断熱気密性能は次世代省エネ仕様、窓はペアガラスにして築20年とは思えない高性能空間に(積水ハウス「エバーループ」)
積水ハウスは2007年11月から住宅買取再生システム「エバーループ(EVER LOOP)」をスタート。同社がこれまでに供給してきた鉄骨系住宅を施主(オーナー)から買い取り、新たな住まい手に再販する事業です。基礎部分や鉄骨などの躯体を残して大規模な改修工事を行い、内装や設備を全て入れ替え、動線や間取りも現在の住まいニーズに合うよう変更。現在の新耐震基準を満たすように構造計算もし直し、10年間の保証制度やアフターサービス実施も新築住宅と同様に行うとしています。

同事業の第1号は、昨年11月に公開された神戸市垂水区の築29年の一戸建て。オーナーが亡くなり、別の地域に住む家族が所有しながらも空家になっていたものを買取。既存の外壁パネルやサッシは全て最新仕様に交換し、ガスによる自家発電システム「エコウィル」や床暖房も採用。間取りも仕切りが少なく可変性の高いものに変え、「まるで新築住宅と見間違うくらい」(見学した報道関係者)の仕上がりだったそうです。

エバーループキッチン
LDKを1階に移し、キッチンはオープンな対面型にして開放的に
今年2月には、首都圏エリアでの第1号となる神奈川県秦野市の築20年物件も公開。改造前は、1階が主寝室などのプライベート部分、2階にLDとキッチンという、かつての典型的な2階リビング式プランでしたが、より現代のライフスタイルにマッチする間取りに変えるため、LDKを1階に移して玄関からの動線を短縮。広いLD空間を構成するため、構造計算をし直して階段位置も変更したといいます。

再生住宅なら新築の7~8割の価格で買える

水周り設備は全て取り替え、ペアガラスや電動シャッターも採用。天井の高さが現在の住宅より若干低めにはなっていますが、構造上外せない耐力壁はあえてアクセントとして残すことで、マイナス要素をプラス転換しています。気になる再販価格は、新築住宅の7~8割程度が目安。新築注文住宅には手が届かないけれど……という人には購入しやすいのではないでしょうか。

エバーループ浴室
大型保温浴槽など水周りはすべて最新設備に全面取替え。築20年でも最新ライフを十分送れることを実証
メリットは、「新築同様の再生住宅をよりリーズナブルに買える」という買い手側だけでなく、元のオーナー側にもあります。一般的に日本の住宅は築20年で、土地は別として建物の価値は10%程度にまで評価が下がってしまいますが、このシステムでは同社独自の査定方式を採用。再販する予定額をはじき出す際、通常の価格査定マニュアルに基づく額より、オーナーにとってより有利な査定が行われます。

例えば、築25年で建物面積35坪の一例では、一般的な査定が3300万円の場合、同社の査定では3500万円程度になるといいます。3300万円というのはほとんど土地の価格ですから、つまり建物の価格が200万円に査定されるということ。普通に売却すれば建物価値はほぼゼロに近いわけですから、多少なりとも高く査定されれば、その資金を次の住み替え費用に充当することができるわけです。

こうした買取制度は一般住宅だけでなく、自然派個性住宅でもスタートしそうです。次ページで紹介します。
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