暮らし方教室は「自宅の隅々までが舞台」
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自宅1階には、かつて英語教室に使っていた部屋をリフォームした、ゲストや生徒さんの待合ラウンジも |
ヨーロッパの文化に精通し、審美眼が人一倍高い市川さんが「終の住処になるかしら」と気に入っている自宅は、14年前に土地を購入してからの注文住宅。以前の家は中古住宅を購入してリノベーションしたものでしたが、今度の家は最初から「ゼロから設計する注文住宅」が条件でした。理由はもちろん、念願の「おしゃれな暮らし方サロン」の舞台とするためです。
「暮らし方を教える教室ですから、私の暮らしそのものを生徒さんにお伝えしなければいけません。家族に迷惑がかからないような生徒さんの動線、講座前後に生徒さんに談笑いただく部屋、あまり見せたくない家電やオーディオはどのように収納するか、家族の下着やこまごまとしたカトラリーは、どこにどう収納したら便利か。そして何より、教室は空間演出の場でもありますから、モールディングや壁紙に至るまで徹底的にこだわりましたね」。趣味の展示場巡りで知見を得ていた市川さんは、図面を引くプランニング段階から細部にわたる希望を設計士とともに考えたのだとか。
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壁紙の色合いやコラム(円柱)、天井との境にあるモールディングに至るまで「サロン演出」にこだわっている |
玄関を開けると、そこはもうヨーロッパの調度品がしつらえられた「市川ワールド」がBGMとともに出迎えます。玄関土間には靴をはく際に腰をかけられるソファが置いてあり、そこからゲストは2階のリビングに通されます。実は玄関ホールの一角にドアがあり、その奥に家族の部屋や寝室があるのですが、ドアを閉めれば、まさかそんなプライベート空間があるとは誰も気づきません。もちろん、講座中はドアは施錠され、ゲストが勝手に入らないような工夫もされています。
収納のスペース量と緻密な計算にビックリ!
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真っ白なリビングの壁面収納を開くと、そこにはテレビやオーディオなど黒モノ家電が。家電のサイズに合わせた収納設計は注文住宅ならでは |
2階に通されると、真っ白なヨーロピアンリビングに。窓側には丸くせり出した大理石床のアルコーブが。大きなダイニングテーブルには本格的なテーブルデコレーション。ダイニングとキッチンは対面式で、市川さんが料理しながらLDの生徒さんと会話ができるようになっています。
料理講座も行う市川さん宅は、キッチンも主役級の舞台。新築した14年前のシステムキッチンは水垢・油ハネの全くない真っ白なまま! 「使い終わったら即おそうじ」の賜物です。そして驚くのが、キッチン奥に広がるヌック的空間。数年前にキッチン奥にあった和室をリフォームし、キッチンにつなげたスタジオ空間にリフォームしたとか。
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キッチンには特別にオーダー設計した大きな調理台が!料理教室ではこの台を生徒さんが囲む。台の下はもちろん豊富な収納スペースに |
そしてそこには今、市川さんがオーダーした白く大きな調理台が置かれているのですが、なんとその下は細かく仕切られた収納引出しに。この調理台の下に炊飯器も調味料もゴミ箱も、寸法を測っているため、寸分の無駄もなくキッチリ収められているのです。
そのキッチン横には食品庫室も。こまごまとして生活感の出やすいものはすべてここに収納。といっても、キッチンのすぐ横なので動線はラクです。そして驚くのは、やはりおもてなしの教室ですから、一般家庭の倍以上はある高級ティーカップや皿、カトラリーの膨大な量が、すべて新築時に設計した壁面収納や作りつけ収納に見事に収められている点。「収納はいかに事前に細かく計算するか」であることを実感します。
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最近リフォームした洗面スペース。全自動洗濯機の向かい側に肌着類を収納する引出を作りつけ、動線を効率化 |
さて市川さんが、最近リフォームしたのは、1階のドア奥プライベートエリアにある洗面スペース。とにかく白物・黒物家電を目につく表に出したくないという市川さんは、ヨーロッパ製の洗濯乾燥機をビルトインした洗面台を、大好きなペパーミントグリーンでオーダーリフォーム。洗面台の対面には家族全員の下着やリネン・タオル類をすべてしまえる収納ダンスも同じ色で作りつけました。これなら入浴時、下着を部屋から持ってくる動線と時間が省けます。
今やマスコミや企業に引っ張りだこの市川さん。でも「舞台は自宅にこだわりたい」とか。その理由は
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