「長期優良住宅法」では構造の劣化対策が認定基準案の冒頭に掲げられている(写真はイメージです) |
法律に合わせ各メーカーが相次ぎ発表
老舗の住宅メーカーながら、インターネット住宅をはじめ数々の先進的な取り組みをリリースしてきているエス・バイ・エルが08年12月、壁体内換気システムを邸別に組み込んだ長期耐久性プログラム「LOOP(ループ、Long owner programの略)」を発表しました。「空気は暖められると上昇する」という自然の力を利用した壁体内換気システム。床下と小屋裏の温度差を利用したエコなシステムだ(写真協力:この記事中いずれもエス・バイ・エル) |
30年以上にわたる壁体内換気システムの実績と調査研究をもとに、個別の住まいの間取りや敷地条件・周辺環境までを壁体内換気パネルの設計システムに組み込み、邸別に最適な構造躯体の状態を作り出して耐久性を高める日本初のプログラム。本来は一邸一邸の置かれた住環境によって異なるはずの耐久性について、湿気のたまりやすいリスクをどうすれば軽減できるかを、個別の設計段階から計算するようにしたプログラムです。
従来チェックが難しかった壁内部の劣化危険度を、定期点検により事前推定を可能にした |
入居後も躯体の乾燥度で継続チェック
耐久性を維持するのに肝心なのは、実は建築時よりも入居後。住み始めてからは、老朽化の危険度を構造躯体の乾燥度で見る「Revo見える図」を採用。危険度の高い部位を管理し続け、構造躯体の内部を点検する窓「Lupe」で構造躯体の健全性をチェックする、継続的なチェックシステムも併せて用意しています。構造パネルに通気口を設けて乾燥状態を保ち、内部結露を防ぐ |
建物全体が呼吸するように、空気が家全体の壁の中を常に流れることで内部結露の発生を抑制し、目に見えない構造材や断熱材のカビ・腐食を抑え、結果、家の耐久性を高めるというものです。
注目すべきは、このシステムが「暖められた空気は上昇する」という自然の原理を生かし、全館空調システムのような、新たな電気エネルギーを一切必要としていない、非常にエコロジーなこと。高度な動力技術やエネルギーを必要としない、そのエコロジーさは、30年前の第一次オイルショック時代から引く継がれてきたシステムであることが物語っています。
では、この壁体内換気システムの歴史の長さを知るために、1970年代の開発当時に少しタイムスリップしてみましょう。