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円高、地上権で安く…不況時代の住宅(3)

不況に対応した一戸建ては、「単に安い・低価格」だけではありません。「リーズナブル輸入住宅」や「円高リフォーム」、「土地は借りて地上権だけ買う」など、厳しい時代ならではのユニークな提案をご紹介。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

前回は不況を背景にした「超低価格」一戸建てを紹介しましたが、不況に対応した一戸建ては「低価格」だけではありません。

「円高還元、期間限定、先着50棟」が奏功

クラストパーク湘南
根強い人気のある本格輸入住宅を提供し続ける東急ホームズ(写真はクラストパーク湘南)
東急ホームズの「ミルクリーク」と言えば、北米シアトル郊外の友好提携都市ミルクリーク市を名前の由来とする本格輸入住宅。北米式ツーバイフォー構造、部材も米国等から輸入している「本物の輸入住宅」として、現在も業界内やユーザーからの評価が高い輸入住宅シリーズです。

その超高級イメージのある「ミルクリーク」が、昨今の円高還元で坪20万円台という驚きのキャンペーンを展開し、予想以上の反響・受注を得ています。東急ホームズが今年2月6日~3月15日の期間限定・先着50棟で「ミルクリーク・ノーブル」(セカンドエディション・リミテッド)として「坪29万円台~(本体価格、税抜)」を打ち出したところ、前年比1.5倍を超える受注を記録したといいます。

円高還元
円高還元を訴求する東急ホームズのパンフレット
低価格住宅というと、規格やプラン・仕様も限定されがちですが、同商品では「ビルトインガレージのあるプラン」「アイランドキッチンのあるプラン」「フレックススペースのあるプラン」「収納スペース充実のプラン」「アトリエのあるプラン」など、こだわりに応える多彩なプランを用意。「ミルクリーク」の高い性能はそのままに、円高還元を利用して究極のコストパフォーマンス住宅を提案しました。

同社は先だって行われた国土交通省の「超長期住宅先導的モデル事業」に「新築」と「改修」のダブルで採択されており、限定20棟のモニターには補助金上限200万円(建築費の1割以内)も利用可能。補助金相当額は国から同社に支払われるため、購入者は購入価格から補助金相当分を除いた額を同社に支払えばよく、より安く買えるチャンスが重なったということになります。

田園都市線で「頭のよい子が育つ街」も?

ポスター
東急ホームズの「頭のよい子が育つ家」分譲ポスター
同社の快進撃は、横浜市青葉台の戸建分譲プロジェクト「ウェルタウン青葉台~五感を育む街」の販売にも現われています。「頭のよい子が育つ家」(日経BP社発行)の著者である四十万靖氏とコラボレーションし、横浜の田園都市沿線に住む若いファミリーが好みそうな「五感を育む空間」を動線計画や家具レイアウトに反映しています。

そうは言っても、横浜・青葉台といえば、高級住宅地。土地だけで予算がオーバーしてしまいかねません。そうした「教育熱心だけれども、憧れの街で土地付き一戸建には手が届かない」若いファミリー心理をつかみ、土地は所有権と地上権との選択制に。地上権は所有権より2000万円ほど抑えた3780万円から販売し、子育て終了後に買い取り所有権に切り替えることも可能としています。

家族イメージ
土地を地上権で利用できれば、教育費のかさむファミリーでも高級住宅地で一戸建が持てる?
土地代が3000万円台で叶えば、建物を加えても5000万円前後で憧れの街で一戸建てに住めることに。マイホーム購入世代は、これから子育てや教育費で出費もかさむファミリー層。そんな「田園都市線沿線での庭付き一戸建ても、教育費や塾代も」無理なく投資できる形にうまく誘導した事例と言えるでしょう。

そうは言っても、この大不況。収入不安の中で新築のような大出費は痛いご時世。ということで、一方で力を入れているのは……。
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