なぜ再び、住宅企業と異業種コラボが増えているのか。ガイドが考える4つの理由をご紹介しましょう。
理由1:激化する業界の競争・差別化の一環
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ハードでの差別化が難しくなる中で、住まい方やソフトでの差別化を図る(ダイワハウス「HAPPY HUGモデル2」) |
まず考えられるのは、住宅業界における競合対策としての差別化。木造・鉄骨を問わず、住宅性能や最新設備・スペック・外観・デザインなどは、どの住宅会社をみてもほとんど差がなくなってきています。エンドユーザーの目から見たらそれは尚更。しかも、特に女性ユーザーにスペックや性能の差を訴求しても響かないし、分かりにくい。そこで、メディアや人気ブランドとのコラボレーションをすることで、誰にでもわかりやすい「ブランドの見える化」を目指しているのではないでしょうか。特に「たまひよ」などは、女性だけでなく子供にも分かりやすい差別化の好例だと思います。
理由2:異業種ブランドのもつ知名度やノウハウを活用できる
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知名度の高いキャラクターとのコラボは子供や女性にとっても分かりやすく効果的(ダイワハウスの商品発表会) |
これまで住宅業界は高度成長期以降、ずっと技術開発に力を入れ、ハード優先の歴史を辿ってきました。そのため技術開発については世界トップレベルになったものの、ソフト面や住まい方の提案は遅れていました。ここに来て、住宅各社は自社内にソフトを研究するシンクタンクやマーケティング部署をつくってきていますが、それでも今やライフスタイルや住宅ニーズが多様化し、以前のプロトタイプだけの商品では対応できなくなっているのです。
全ユーザーのカテゴリ層別にソフト研究していくのはコストも労力もかかります。新規分野をアウトソーシングによって人件費・固定費リスクを軽減し、すでにコンテンツを持っている異業種ブランドとコラボすることで、投資を抑えながら、そこに訴求する商品開発や販促プロモーション・集客が低コストで可能になることが考えられます。
理由3:女性や子供に分かりやすくソフト・コンセプト訴求
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庭付き一戸建て、車、子供の学校……昭和的な「モノ」に価値を見出す?イマドキ主婦の心理を突いた雑誌の特集 |
住宅購入において女性の発言権がますます大きくなる中で、女性をどう取り込んでいくかが業界の課題。性能やスペックで訴求するのではなく、メディアなどと組むことで企業理念を分かりやすく表現し、シンボリックな訴求が求められています。現在の30代も40代も「ブランド」で購入行動を起こす傾向に変わりありませんが、「クルマやDC高級ブランドを持つこと自体がステイタス」だった40代と異なり、30代は「ユニクロ」「無印良品」「ナイキ」「スターバックス」などブランドの奥にある企業理念に共感して選ぶ傾向もあります。そうした人気ブランドの企業理念を住宅と重ね合わせることで、そこで展開される住まい方のイメージがより「見える化」するのではないでしょうか。
理由4:コラボ先の異業種ブランドにとってもメリット
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女性はモノやブランドに込められたメッセージを読み取るのが上手。住宅もコラボ先ブランドを通してイメージ |
生活雑貨ブランドやメディアは、すでに顧客の固定ファンを持っているの加え、消費者が求めている情報の収集とその商品化に高い力量とノウハウを持っています。事実、無印良品やフランフランは、衣食住を広く包む住宅事業にも乗り出していますし、ベネッセなどのメディアの中には直接エンドユーザーとの双方向WEBマーケティングの仕組み持っている企業とのコラボであれば、リアルタイムもユーザーニーズを商品開発に生かせる利点も。これまでの研究成果やコンテンツをハードに具現化できるわけです。
以上、ライフスタイルとともに住宅ニーズも多様化しており、かつてのように単純な「箱」を選ぶのでなく、自分たちの想いと合う箱の中で展開される「ライフスタイル」を選ぶようになっています。消費者にとっても、たとえば同じ「子育て住宅」と謳われても、そのコラボ先ブランドを通してイメージがつかみやすくなるので敷居が低くなったり、企業理念やメッセージがより分かりやすく親しみやすく掴めるのではないでしょうか。
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