「カルバン・クライン」×「建築家・小川晋一」

「ファッションブランド」と「建築」。一見なんの関係もない別個の文化と捉えられがちですが、そんな日本に新風を巻き起こすようなイベントが行われました。世界的な一流ブランドとして揺るぎない人気を誇る「カルバン・クライン」(Calvin Klein)と、モダニズムスタイルを代表する建築家・小川晋一氏とのコラボレーションから、「ファッション×建築・住まい」の新しいトレンドを探ります。
ショー全景
暮れなずむ明治神宮外苑の絵画館前に特設されたショー会場。「ガラスの家」のなかでモデルがさまざまなライフシーンを再現

新緑が爽やかな明治神宮外苑で5月下旬の夜、カルバン・クラインの特別イベント「ワールド・オブ・カルバン・クライン」が行われました。2007-2008秋冬コレクションをはじめアクセサリーや香水・ビューティ商品まで全ラインが集結。一日限り、それも夜間2時間に限って行われたイベントです。

一夜限りのイベント会場を手がけたのは、モダン建築で知られる建築家・小川晋一氏。ワシントン州立大建築学科交換留学を経て、文化庁派遣芸術家として現在もカルバン・クライン生誕の地ニューヨークに在住。世界を舞台に、現代アートのようなミニマルな空間づくりで高い評価を得ている建築家です。

一日限り「森の中のガラスハウス」

ショー寝室
寝室ではアンダーウェア姿の男性モデルがベッドの上でPCに向かったり。ベッドリネンもウェアもカルバン・クライン
「モネ展」やモダンアートの美術展とのコラボレーションを多く手がけてきた小川氏も、一夜限りのファッションショー会場を手がけるのは初めてのこと。神宮外苑の聖徳記念絵画館前という公共敷地内でもあるため、工事時間も限られ、わずか30時間で徹夜で作り上げたといいます。

建築のテーマは「森の中のガラスハウス」という家をイメージ。ガラスの中のショーを見入る観客たちを「木々」に見立て、「家」の中ではカルバン・クラインの服を着た約20人のモデルが寝室のベッドでくつろいだり、バスルームで下着姿でメークをしたり、クローゼットの前で服を着替えたり。

服だけでなく靴やアクセサリー、化粧品、リネンやインテリア小物など、ブランドが展開するあらゆる商品を、「家」を舞台にさまざまなシーンで見せる仕掛けになっています。

会場模型
ショー会場の模型。正面は全面ガラス張りの細長い平屋建て
その「ガラスの家」は幅36m、奥行き7.5mの細長いハコ状の平屋。正面は一面ガラス張りで屋根やライムストーン風の床はすべて白。家をイメージしているだけにテラスや暖炉・煙突もあり、鉄骨・木造の混構造。カルバン・クライン的ファッションにも通じるモノトーンカラーをベースに、色のない「静かなデザイン」を表現しています。

一夜限りとはいえ、工事・展示時間の非常に限られた凝縮された環境だからこそ熱意を注いだという小川氏。「絵画館前という常設が許されない環境にこそ美学と哲学がある。暫定的だからこそ建物のアート性が際立つのです」。

それにしても、カルバン・クライン(以下CKと略)のファッションと小川氏の建築、そして住まいとの接点はどこにあるのでしょう? 次ページで迫ります。