19世紀から20世紀にかけて、サーリネンといった建築家たちがヘルシンキの街をプランニング、そして造り上げました。けれど、建築という分野では、もうひとつの流れがあったのです。「建設工匠」といわれる職人たちは、ヘルシンキ中心部から離れた住宅地で、中産階級のための都市型住宅を量産しました。現在もほぼ、当時もままに残されている地区がいくつかあります。そんな住宅街を歩くと、ちょっとぶきっちょな、素朴で微笑ましいデザインが多く見ることができます。

クルーヌンハカ地区、港に近いカタノヤッカ地区やフヴィラ通りなどの街路を歩くと、ひとつひとつの建物に表情を持たせた建物に出会うことができます。たとえば、フィンランド産の花崗岩と木製のドアや窓との組み合わせ。がっしりとした安心感と暖かみのある重厚な扉が印象的です。ここまで重々しくしなくても・・・と思うような、少しアンバランスな雰囲気もありますが、でも憎めない、そんな感じの建物が続きます。そしてアールヌーヴォー的な装飾も魅力的と言えるでしょう。

 
外壁の一部を飛び出させたデザインも多く見られました。なぜ、ここに飛び出しているの?と少し不思議なデザインもありましたが、少しおどけているようにも思えて、寒い中でも楽しむことができました。カーブを持たせた形が装飾的にもアクセントになっています。デザインされた手摺はアールヌーヴォーの影響でしょうか?

 
彫刻された外壁、凹凸をつけた彫り込み、精密とは言えないまでも建物に動きを出しているようです。渦を巻くようなデザイン、モザイクを埋め込んで模様をつけた壁、様式を超えた、自由な発想を多くみることができます。外壁にも淡い色を持ち込んだのは、寒い冬でも暖かさを生み出す工夫なのでしょうか。住宅街を歩いていると、昔の職人達の活気が伝わって来るようです。

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