高齢の方には一戸建ての維持管理は大変に
プライバシーを確保しつつ、風を取り入れることもできる電動タイプのシャッター。[住宅用窓シャッター エアリス マルチ電動] LIXIL
新築やリフォームの際には、高齢の方が日々の暮らしの中で感じる不便さを軽減できる、維持管理のしやすいもの、省力化できるなどの設備や建材を取り入れることで、暮らしやすさが高まるケースも。ご家族の年齢にもよりますが、プランニングを検討するのであれば、あらかじめ考慮しておきたいものです。
将来の負担を軽減するため、長期的な視点で計画を
一戸建てを適切に維持していくための基本は、状態に合わせたメンテナンスや修理、修繕を適切に行うこと。家を建てる際には、年齢を問わず、メンテナンスやリフォームに関しての長期的な視点を持つことが大切です。しかし、高齢になってからのメンテナンスや大掛かりなリフォームは、体力的にも精神的にも、そして経済的にも負担が大きい場合も。将来の負担を軽減するためにも、家族のライフステージ、メンテナンスの費用、工事規模などについても、しっかりと検討した上で、商品選びをするようにしましょう。長期保証のある商品や取り換えがしやすい定番商品を選ぶといったこともポイントのひとつになるでしょう。
屋根材・外壁材 耐久性やメンテナンス性を重視して選ぶ
高級感あふれる石積柄。雨できれいになるセルフッ素コート、塗膜20年保証。[窯業系外装材 AT-WALLガーディナル ノエガVZ] LIXIL
たとえば、外壁材であれば、美しさを保つことができるセルフクリーニング機能があるもの、光触媒などによって汚れがつきにくいもの、メンテナンスフリーの素材なども提案されています。屋根材も耐久性が高く褪色しにくいものなどを選ぶことによって、メンテナンスの手間を減らすことができるでしょう。最近では、塗膜保障をつけた商品も揃っています。
デッキ・ベランダ・雨どい エクステリア建材は耐候性がポイント
屋根や外壁材と同様に、外まわりのアイテムは、その性能やメンテナンスの方法や時期など、選ぶ前に必ず確認しておくようにしましょう。たとえば、デッキやベランダなども年月による劣化が気になるもの。ウッドデッキは、お手入れのしやすさを重視すると、無垢材ではなく樹脂製等を選ぶこともひとつの方法です。無垢材でも薬剤などによって耐久性が高いものもみられますが、どちらかといえば樹脂製等のほうが、メンテナンスの手間はかからないといえるでしょう。
また、外まわりで気をつけたいアイテムには、雨どいも挙げられます。老朽化したり、枯葉がたまることによって、水があふれ、建物本体に被害が及ぶことも。高いところにあるので、修理や枯葉を取り除くのは、高齢でなくても大変なこと。耐久性が高く、枯葉などが入り込まない工夫のある商品を選ぶようにしたいものです。
シャッターや窓・玄関扉 操作のしやすい電動タイプも
高齢になると雨戸の開閉も億劫になるものです。築年数を経ると、たてつけが悪くなったり、滑りが悪くなったりすることも。最近では、いわゆる引戸タイプの雨戸ではなく、操作の楽なシャッターを選ぶケースも増えてきています。電動タイプを選べば、スイッチやリモコン操作で簡単に開閉することも可能なので、高齢になっても使い勝手がいいでしょう。また、高い位置に設置されるトップライトも、電動タイプが便利かもしれません。カーテンレールやブラインドにも、電動の商品もあるので、必要に応じて取り入れてもいいでしょう。その他、玄関扉の鍵の施解錠のしやすさも意識しておきたいもの。通常の鍵だけでなく、リモコンやカードなどで開閉できるタイプも使い勝手がいいものです。
水まわり お手入れがラクな、掃除のしやすい機器を
油が溜まるラクウォッシュプレートはワンタッチで着脱可能。年に1回洗うだけ。 [ほっとくリーンフード ファン] パナソニック エコソリューションズ
また、お掃除の回数を格段に減らすことのできるトイレやキッチンの換気扇、ワックスがけが不要なフローリングなども多くみられます。高齢の方にとっては、お手入れのしやすさを重視することも大切なポイントとなるでしょう。
照明器具 交換の手間を軽減するLEDを
電球の交換も難しい場合もあるものです。高いところでの作業は危険が伴いますし、数が多ければ手間もかかります。特に、最近の照明プランは、 ダウンライトや天井直付けのシーリングライトなど、高い位置に取り付けられているケースも多いため、LED照明を取り入れる方がいいでしょう。長寿命なため、電球交換の手間を減らすことが可能です。また、昇降機能がついた照明器具などを選べば安全に取り換えることもできるでしょう。年齢によっては、維持のしやすさを重視したプランも
個人的には、住まいは暮らす人が手を加えていくこと、メンテナンスをすることで、愛着もわくものだと思いますし、便利な機器や機能に頼りすぎてしまうのもどうか、とも思います。しかし、高齢になっても、「一戸建てのわが家で過ごしたい」と考えた場合、あらかじめ操作やメンテナンスが楽な機能や性能を、上手に取り入れた住まいにしておく、ということもひとつの方法でしょう。
家を建てる際には、10年後、20年後の暮らしを考えてプランニングする、というのが基本。その10年後、20年後の家族構成や家族の年齢によっては、維持のしやすさ、という視点も組み入れたプランニングを検討してみてもいいのではないでしょうか。
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