どんな地盤か知っておこう
東京、大阪、名古屋などの大都市は沖積(ちゅうせき)層と呼ばれる軟弱な地盤の上に建っています。
軟弱な地盤の上に建つ建物は地震時の揺れが大きく伝わり、硬い地盤の上に建つ建物に比べ、建物に大きなダメージを受けやすくなります。また、室内の家具が転倒しやすくなります。地盤の情報を前もって知っておけば、対策を取ることもできます。そこで今回は(1)地盤の基礎知識 (2)地盤の見分けかた (3)マンションの基礎の種類 (4)地質調査図の見方 について解説いたします。
地盤の種類
いろんな地層が重なって地盤が形成されている
表土(黒土)
表層地盤※1
砂れき
沖積(ちゅうせき)層※2
洪積(こうせき)層※3
※1表層地盤
建物の直下、地表から数十メートルまでの地盤。その下の地盤と比べ、はるかに軟らかい。たとえば関東では関東ローム層という赤土の部分で、富士山の火山灰が堆積したもの。地域により××ローム層という名がついている
※2沖積(ちゅうせき)層
約2万年前以降に作られた比較的新しい地層。河川などで運ばれた腐植土、泥土が堆積して出来た層で、一般に軟弱。
※3洪積(こうせき)層
約2~200万年前に作られた古い地層で堅固。岩盤や砂れきで構成され、建物の基礎を支持する良好な地盤。
地盤と支持層
日本では、これらの地層が場所によって層の厚さを変えてのっています。沖積層は軟弱地盤の代名詞とされ、沖積層が厚く分布された地域は地震に弱く危険です。東京や大阪などの大都市にはこの沖積層が広く分布されており、建物を建てるときにはその下の支持地盤まで基礎杭をのばして建物の荷重を支持させる必要があります。このように、建物を建てるときは地盤調査をして支持層を確認し、適切な基礎の形を決めます。地盤の強さはN値で評価され、一般に中高層マンションの支持地盤に適するのはN値30~50以上の硬い地盤とされます。
【図1】地盤の種類:沖積層はその昔、海面が今より数十メートル上昇したことによって、谷などが海から運ばれた堆積物で埋め立てられ、後に平野になった部分。 |
次のページで地盤の定義と地盤の見分け方を解説します。