伝統的なバリの民家の庭。 |
南の島インドネシアのバリ島に行ってきました。デンパサールやジンバランなどの都市部では近代的な住宅が建ちつつあるバリですが、それはある意味特殊なケース。ほとんどが昔からある伝統的な住宅スタイルを取っています。今回はバリの内陸にある芸術の町ウブドにある伝統的な住宅をリポートします。
バリの家と方位との関係
それではまず典型的な民家の配置を見てみましょう。「間取り」ではなく「配置」というのがポイント。なぜなら、バリの伝統的な民家はこのような広大な敷地に造られているからです。【図1】をご覧ください。敷地面積約1000m2。敷地内の庭に独立した建物がポツポツ配置され、通路でつながっています。そこに大家族で住んでいます。
そして方位ですが、バリ島には東の方向に聖なるアグン山が控えていて、こちら側が聖なる方位、反対の西側が不浄な方位とされています。
【図1】今回取材したバリの伝統的な民家の配置図。敷地の1辺が約30メートル。 |
【図1】の配置を見ると、敷地内の聖なる方位である東側にfamily templeと呼ばれる家族用のお寺(c)が設けられています。また、結婚式などの催事が執り行われる祭用の部屋(e)や客間(d)も敷地東側につくられます。そして生きものをさばくために「不浄」とされる台所(g)はお寺と反対側に設けられます。子ども部屋(h)は東とも西ともいえない中間地点に建っています。
ちなみ両親の部屋ですが、祭用の部屋(e)にベットが置いてあり、お父さんなどは昼間からここでぐうぐう寝ているそうです。日本のお父さんにはうらやましい限りですね。
広い庭に点在する部屋。手前石像のある部屋が祭事用の部屋(兼両親の寝室)、奥左が子ども部屋、奥右が客間。各部屋は庭の通路で結ばれている。 |
伝統的なバリの住宅はこのように、塀に囲まれた広い敷地に数棟の独立した部屋があるという形式になっています。例えば子どもが結婚した時は、庭の空いているところにひとつ部屋を作って、そこに同居します。そうしてずっと同じ土地に大家族で暮らします。
バリのあまりに有名な田園風景「ライステラス」。バリ絵画でもよく題材になっています。日本人に大変人気があるそうです。 |
家の敷地は道路に面してありますが、敷地の道路と反対側には広大なライスフィールドが広がります。バリは土地が肥えていて年に2~3回もお米が収穫できるそうです。日本人には非常になじみのある光景が家の向こう側に広がり、のどかそのものです。
それでは次のページでもっと詳しくバリの家を見てみましょう。