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マンションエレベーター事故、その後と対策

今やマンションライフに欠かせず身近な存在の「エレベーター」。そこで怪我をしたり閉じ込められたりする事故が多発しています。2年前の死亡事故以来、エレベーターの安全性は向上したのでしょうか?

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

マンション住まいの人にとってエレベーターは身近な存在。
マンション住まいの人にとってエレベーターは身近な存在。
今やマンションライフに欠かせない、身近な存在の「エレベーター」。そこで怪我を負うような事故や地震時の閉じ込めなどが多発しています。

2006年6月に公営住宅で男子高校生がエレベータに挟まれて死亡した事件はまだ記憶に新しいところですが、この12月には分譲マンションのエレベーターで住人女性が足を挟まれ重傷を負う事件が発生しました。

2年前の死亡事故以来、エレベーターの安全性はどうなっているのでしょうか? 今まで起きたエレベーター事故を振り返り、その後どのような安全対策が取られたか確認しておきましょう。

これまで起きた主なエレベーター事故

事故例1:
2005年7月、千葉県北西部地震が発生。この地震の影響で停止したエレベーターは約64,000台。東京・千葉などを中心に78台のエレベーターが停止し、内部に閉じ込められる事故が発生。救出時間は通報を受けてから最大170分、平均は約50分。

事故例2:
2006年6月、東京都港区の賃貸住宅で、自転車と一緒にエレベーターに乗っていた男子高校生が12階でエレベーターを降りようとしたところ、突然エレベーターのかごが上昇し、かごの床と天井に体を挟まれた。救急車で病院に搬送されたが窒息のため死亡。賃貸マンションは港区が所有し、管理は港区住宅公社が行なっていた。エレベーターはシンドラー社製。エレベーターの保守点検は年度ごとに入札で決めており、当時はエス・イー・シーエレベータが行っていた。

事故例3:
2006年6月、市営地下鉄横浜駅でエレベーターに乗客4人が3分間閉じ込められた。エレベーターはシンドラー社製。同社の係員が対処して救出した。

事故例4:
2006年9月、品川区のビル8階で、住人の女性が連れていた犬がエレベーターの外に飛び出した直後にドアが閉まり、犬をつないでいたひもが挟まったままエレベーターが上昇したため、ひもを指に何重にも巻き付けていた女性が指4本を切断。エレベーターは日立製作所製、保守点検は日立ビルシステム。

事故例5:
2007年9月、大阪府堺市の複合レジャー施設「とこりん石津店」において、男性客9人が3階から上行きのエレベーター(定員9名)に乗ったところ、急降下し、3階床レベルから50cmほど天井が出ている状態で停止。約50分後に保守会社であるシンドラーエレベータが駆けつけ、救助。乗客9人は軽傷。エレベーターはシンドラー社製。

事故例6:
2008年12月、京都市のマンションで、エレベーターのドアが開いたまま突然降下し、降りようとしていた女性がエレベーターと床の隙間に足を挟まれ骨盤骨折の重傷を負った。エレベーターは東芝エレベータ社製。保守管理は東洋昇降機。2008年10月から点検費用の削減のためエレベーターの管理会社を東芝エレベータから替えたところだった。今までに不具合はなく、11月の点検でも異常なし。

次のページでは、これらの事故を受けてエレベーターの安全性への取り組みはどうなっているか確認してみましょう。
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