土地や住宅など不動産にはさまざまな制限があり、そのベースとなるのが都市計画法です。この都市計画法には難しい規定も数多くありますが、住宅を購入する人がよく理解しておきたい基本的な部分は「都市計画区域と市街化区域、市街化調整区域」の規定でしょう。
今回はそれぞれのあらましをみていくことにしますが、詳しい内容については ≪都市計画法と都市計画区域の基礎知識≫ をご覧ください。
都市計画区域とは?
大都市圏の市町村や地方の主要都市では、その大半が都市計画区域に指定されています。「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保する」という理念も書かれていますが、簡単には「好き勝手に建物を建てたり開発させたりしないために制限を加える区域」だといえるでしょう。
原則として人口が1万人以上で、商工業など都市的な仕事に従事している人が全就業者の50%以上、中心市街地に住んでいる人が3,000人以上などの条件があり、2014年3月31日現在では全国に1,076箇所(複数の市町村にまたがるものを含む)の都市計画区域があります。
したがって、人口が1万人以下の町村や、半数以上が農業や漁業などに従事する町村は、原則的に都市計画区域にはならないと考えて構いません。
市街化区域と市街化調整区域の違い
都市計画区域に指定された区域のうち、三大都市圏やその周辺、および一定規模以上の区域については、市街化区域と市街化調整区域に「線引き」されることになっています。市街化区域は、すでに市街地を形成している区域(既成市街地)と、優先的かつ計画的に市街化を図る区域です。それに対して市街化調整区域は「市街化を抑制する区域」であり、建物の建築などは厳しく制限されます。
ちなみに、東京23区は主要河川の河川敷を除いて、すべて市街化区域に指定されています。そのため「市街化調整区域は山や海のほう」という印象を受けるかもしれませんが、実は横浜市など大都市でも多くのエリアが市街化調整区域に指定されています。
市街化調整区域では、一部の例外を除き住宅など建物を建てることはできないのが原則です。ところが、市街化調整区域内でも宅地開発がされたり、いきなり役所の建物が建っていたりするなど、分かりづらい運用がされているケースも多いでしょう。
その一方で、地方圏では市街化区域と市街化調整区域に分けられることなく(非線引き都市計画区域)、あまり厳しい制限はされないことも少なくありません。
大都市圏で住宅を購入するときには、市街化区域なのか市街化調整区域なのかをよく確認するようにしましょう。住宅が売られるのはたいてい市街化区域ですが……。
それに対して、地方圏で住宅を購入するときには都市計画区域に指定されているのかどうかについて確認することが必要です。
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