■ 入札参加物件の決定~入札価格の決定
競売で安く買える可能性があるとはいえ、やみくもに入札参加しても意味がありません。3点セットによる検討だけでなく、登記内容の確認や、現地に赴いてその物件状況や周辺環境、マンションであれば管理の状態など、事前に調べるべきことはいくつもあります。また、執行官による現況調査から実際の競売まで4~6か月くらいかかるので、物件の状況が変わっていることもあるようです。
入札に参加する物件が決まったら、いくらで入札するのか決めなくてはなりません。実際のところこれがいちばん難しい部分です。最低売却価額は物件の相場よりもだいぶ低く設定されていますが、一般ユーザーの方がかなり多く競売に参加するようになって、ときにはびっくりするような高値で落札されていることがあります。裁判所が定めた最低売却価額の3倍近い落札金額になっていることも。
最近聞いた話では、百戦錬磨の不動産業者が一度に30物件ほど入札に参加し、その結果1物件も落札できなかったとか。 「競売は安い」 という固定観念にとらわれ過ぎると、結果的に通常の中古物件売買相場よりも高い価格で “落札してしまった” なんてことになりかねません。
なお、最低売却価額の2倍を超えるような高値で落札されているケースでは、 「自己競落」 といって債権者の別会社が落札していることもあるようです。不良債権を付け替えて整理したうえで、別の形で売却するわけですが実態は不明です。市場性が高く債権の条件が整った物件がこうなってしまうとすれば、一般のユーザーがそのような物件を落札するのは不可能に近いですね。
競売の場合には事前に建物内の状況を見ることができないわけですから、入札価格の決定にあたってはリフォーム費用なども余裕をみて考えておく必要があります。またその物件に占有者が居る場合、明渡し交渉にかかる費用や明渡し料 (立退き料・引越し代など) 、その期間なども考慮しなければなりません。十分に余裕のある予算を立てるとともに、あまり無理な (高値) の入札価格決定をしないこと。自分が得したと思えるような価格で落札できなければ、きっぱり諦めるくらいに割りきって考えたほうが良さそうです。
また、競売不動産では物件に物理的な瑕疵 (欠陥・故障等) があってもその責任を問うことができません。相場よりも安く買える可能性がある代わり、そのリスクも大きいことも十分に考慮しなければなりません。
■ 事件取下げの確認
競売物件として公告された後も、事件 (法的手続きがからむ案件は “事件” といいます) が取下げられたり延期になる場合があります。競売の申し立てをした債権者と債務者との間の話し合いにより、任意で第三者に売却することが決まったような場合や、示談交渉が進められて一時的に入札期間を延ばす場合などです。取下げ等の情報は下記で確認することができます。
なお、入札が終わったとしても、開札期日までは取下げられることがありますので注意が必要です。
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