建物の高さを制限する規定として、 ≪建物の高さの制限≫ で「絶対高さ」「道路斜線」「隣地斜線」「北側斜線」「日影規制」の概略を説明しましたが、それ以外にも重要な規定があります。都市計画で定められた「高度地区」による制限です。
高度地区について、都市計画法(第9条第17項)では「高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、または土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度または最低限度を定める地区とする」となっています。
一方、建築基準法(第58条)では「高度地区内においては、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない」とされています。
法律だけではずいぶんと曖昧に感じられるでしょうが、実際の制限規定はそれぞれの地方公共団体により定められているため、その内容は一律ではありません。
ここでは高度地区による制限のあらましをみていくことにしますが、詳しい内容については ≪自治体ごとに異なる、高度地区の制限とは?≫ をご覧ください。
最高限度高度地区とは?
最高限度高度地区は、主に北側隣地の日照保護や通風などを目的として定められます。制限の内容は北側斜線制限に似ている場合も多いのですが、それよりも厳しいものとなっており、両方の規定がかかる地域では厳しいほうの規定が優先して適用されます。たとえば東京都では、第1種高度地区、第2種高度地区、第3種高度地区と3種類の制限規定があるほか、2004年度に20m~60mの絶対高さ制限も導入されました。
横浜市では細かく、第1種高度地区から第7種高度地区まで規定され、そのうち第6種高度地区と第7種高度地区は斜線を用いずに絶対高さだけを制限する内容となっています。
その他、全国の主要都市やその周辺市町において、それぞれ独自の内容で高度地区による制限が定められていますが、数のうえでは規定のない都市のほうが多いでしょう。
最低限度高度地区とは?
最低限度高度地区は逆に土地利用の増進を目的として定められるものであり、この指定を受けた地区では原則として決められた高さ「以上」のものを建てなければなりません。たとえば東京都では7mなどの規定がありますが、全国的にみれば最低限度高度地区が指定されている地区はかなり少ないようです。
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