不動産売買の法律・制度/不動産売買の手続き

共働き夫婦の住宅購入は危険!?(3ページ目)

住宅購入の契約などをめぐるトラブルは残念ながら後を絶ちません。とくに共働きの夫婦が……!? 実際に相談を受けたり聞いたりしたトラブル事例から感じたことをもとに、その原因や対策を考えてみました。(2014年改訂版、初出:2004年1月)

執筆者:平野 雅之


勝手な思い込み

「分かったふり」とは逆に、あらかじめ勉強したことがアダになることもあるようです。

本で読んだり人に聞いたりしたことを間違って解釈したまま、それが絶対的に正しいことだと思い込み、営業担当者が正しい説明をしても自分の知識とズレていると「この営業担当者は信用できない」と感じてしまうようなケースです。これもいわゆるキャリアウーマンの人にありがちな傾向かもしれません。

不動産はここで改めていうまでもなく、ひとつとして同じものはありません。それを取り巻く法律などには、例外的事項(法文上の但し書き事項)などが多いのも不動産の特徴です。

営業担当者が実際に間違っているケースは論外として、説明を受けるときには柔軟な頭も欠かせません。自分の理解と違っていれば、「私はこう思っていたんだけどどこが違うの」と、納得できるまで聞いてみましょう。


思いやりがあり過ぎ、遠慮がち

毎日忙しく働いている女性ほど、仕事の大変さが身にしみています。そのため不動産会社の営業担当者に対して「こんなことを頼んだら申し訳ない」「手間のかかることをやってもらったら悪い」とばかりに、つい遠慮がちになってしまうケースもあるようです。

不動産会社も商売でやっているわけですから、遠慮は無用です。気になるところは何でも聞き、手間のかかる調査が必要なことであっても、納得できるまでとことん調査してもらうようにしてください。


契約の前に慎重な確認を!

実際にトラブルの事例を聞いたり相談を受けたりしていると、「もう少し慎重にやっていれば」「もうちょっとだけ事前の確認をきちんとしておけば」こんなトラブルにはならなかっただろうに、と感じることが少なくありません。

大切なのは、疑問に思うことは契約の前にすべて解決しておくこと。自分が納得できるまで説明を受け、調査が必要なことはしっかりと調査させ、万全の体勢で契約に臨むことです。その内容によっては、自分で調べてみることも必要でしょう。

それでも悪質な不動産業者に引っ掛かってしまうようなトラブルも多いのが残念ですね。このようなときは本格的なトラブルに発展する前に、早め早めの対応を心掛けてください。仕事が忙しいからといって、くれぐれもトラブルへの対応を後回しにしませんように。


トラブルを相談するときのコツ

トラブルへの対応は早ければ早いほど受ける被害は少なく、また簡単に解決できるケースも多いでしょう。そして、いったんこじれるとなかなか解決できず、対策を考えているうちにますます悪くなってしまうこともあります。

トラブルになりそうな気配を感じたら、少しでも早い段階で専門家のアドバイスを受けたほうが良いことはいうまでもありません。

このとき、有料か無料かにはあまりこだわらないほうが良いでしょう。もちろん相談する相手にもよりますが、有料相談のほうが手間ひまをかけて、より的確な回答を出してくれることも考えられます。

それよりも大事なのは、できるかぎり「直接会って相談できる相手を選ぶこと」です。メールによる相談では、どうしても回答できる内容に限界が生じてしまうのです。

また、トラブルの芽がどこに潜んでいるのか、一般ユーザーにはなかなかわからないものです。これは重要ではないと思ってユーザーがメールに書かなかったことが、実は一番の原因だったりすることもあります。

だからといって、最初からのいきさつや不動産会社とのやり取りを、メールにすべて客観的に書き出すことは到底無理でしょう。

さらに、図面や契約書その他の書類を見ればすぐに判断できることが、メールや電話ではまったく伝わって来ないこともあります。少しでも早く的確な解決策を導き出すためには、関係書類や資料をすべて持参のうえで専門家(相談相手)のもとを訪ねるようにすることが大切です。

このとき、手元の書類などが重要かそうでないかは自分で判断せず、たとえ無駄になろうともすべて揃えて持っていくようにするべきです。

それでは「どこに相談すればいいの?」という場合、不動産を得意とする弁護士先生を探すか、ネットで専門家を探してみるか、あるいは適切な相手が見つからなければ、各都道府県庁にある「不動産業指導課」などの相談窓口や、宅地建物取引業協会、全日本不動産協会などの業界団体で開設している相談窓口などをご活用ください。


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