不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

消費者契約法と不動産売買 3

不動産売買に関連する消費者契約法解説の3回目です。今回は、消費者契約法によって無効とされる契約条項について、いくつかの例をもとに説明することにしましょう。(2015年改訂版、初出:2004年2月)

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.86】

前々回前回の2回にわたり、消費者契約法の概要と、法にもとづいて契約を取り消せるケースを説明しました。今回は、消費者契約法のもう一つの柱である「不当条項の無効」についてみていくことにしましょう。


無効になる契約条項とは?

消費者契約法では、消費者にとって不利益となる契約条項が無効とされますが、法に規定する無効パターンを要約すると次のようになります。

  1. 事業者の債務不履行により生じた損害賠償責任のすべてを免除する条項(一部のみの免除は有効です)
     
  2. 事業者の故意または重過失にもとづく債務不履行により生じた損害賠償責任の一部を免除する条項(一部だけの免除もできません)
     
  3. 事業者の債務履行の際に、不法行為により生じた損害賠償責任のすべてを免除する条項
     
  4. 事業者の債務履行の際に、故意または重過失にもとづく不法行為により生じた損害賠償責任の一部を免除する条項
     
  5. 目的物に隠れた瑕疵があるときに、事業者の瑕疵担保責任にもとづく損害賠償責任のすべてを免除する条項(瑕疵の修補責任や代替物提供などを定めれば無効ではありません)
     
  6. 消費者が支払う損害賠償額を予定するもので、同種契約における平均的な損害額を超えるもの(超える部分が無効となります)
     
  7. 消費者が支払う遅延損害金などで、年利14.6%の割合を超えるもの(超える部分が無効となります)
     
  8. 民法や商法などの規定に比べ、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重するもので、民法による信義則に反して消費者の利益を一方的に害するもの


不動産取引において無効となる契約条項の例…次ページへ

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