消費税には2種類ある!?
消費税が1989年4月1日に導入された当初の税率は3%でした。これが1997年4月1日に5%となり、2014年4月1日に8%へ引き上げられました。さらに、2019年10月1日には10%への引き上げも予定されています。2014年4月1日からの消費税率は、厳密にいうと6.3%(国税)です。これに1.7%の地方消費税(都道府県税)が加えられて、8%となるのです。ちなみに5%のときの内訳は4.0%と1.0%、10%のときの内訳は7.8%と2.2%です。
この記事のなかでは以後、消費税と地方消費税を合計したものを「消費税額等」と表記していきますが、法令や告示などでは「消費税等相当額」という用語が使われている場合もあります。
消費税額等の売買契約書への記載
1989年の消費税導入に合わせて出された建設省(現、国土交通省)の通達により、不動産業者が作成する売買契約書と媒介契約書には消費税額等を明記(消費税が課税される場合)することになっていて、これに違反するものは監督処分の対象とされます。なお、通達上では「宅地建物取引業法第37条に規定する書面への明記義務」ですが、実務上は売買契約書をもって第37条の書面に代えることが大半であるため、そのまま「売買契約書への明記義務」と解釈されます。
ちなみに、重要事項説明書に対する消費税額等の明記義務はありませんが、これは売買金額自体が重要事項説明書の必須記載事項となっていないためです。しかし、実際には重要事項説明書へ売買金額を記載する例が多く、その際に消費税額等を明記すべきことは当然でしょう。
消費税額等と媒介手数料の関係
不動産業者の媒介により売買契約が成立した際には、不動産業者に対して媒介手数料を支払うことになりますが、この手数料額を計算する際には物件価格から消費税額等を除いた本体価格(土地価格+税抜建物価格)が対象になります。不動産業者の大半が該当する「課税事業者」の場合における媒介手数料の上限額は、2014年3月31日までが「本体価格×3.15%+63,000円」、2014年4月1日以降(次の増税まで)が「本体価格×3.24%+64,800円」で計算することができます。
これは消費税の総額表示に則った表記方法になりますが、単純に「本体価格×3%+6万円(別途消費税)」と考えればよいでしょう。
なお、不動産業者が免税事業者の場合には、不動産業のみなし仕入率とされる50%分を加算できることになっているため、通常の消費税の半額が上乗せされることもあります。
媒介手数料の計算例(税率8%時における課税事業者の場合)
(内訳)売買総額4,660万円、税抜本体価格4,500万円 土地価格2,500万円、建物価格2,000万円、消費税額等160万円 |
媒介手数料の上限額:4,500万円×3.24%+64,800円=1,522,800円 |
これが買主から不動産業者へ支払う媒介手数料の「上限額」です。なお、売主が支払う媒介手数料の上限額も同様に計算できますが、売主からの特別な依頼に基づいて広告経費などを支出したときは、その広告料金も不動産業者から売主へ請求できる場合があります。
計算の対象は消費税額等込みか、抜きか
前記のように不動産業者へ支払う媒介手数料は消費税額等抜きの本体価格を基にして計算をしますが、他の規定では消費税額等込みの総額を基に処理するものが多くなっています。消費税額等抜きの本体価格を基に計算するもの
□ | 媒介手数料 |
消費税額等込みの総額を基に計算するもの
□ | 損害賠償額の予定 | |
「売買価格の20%」などという場合には税込総額に対する割合となる | ||
□ | 手付の額の制限 | |
不動産業者が手付金として受け取ることのできる額は「売買価格(税込総額)の20%」まで | ||
□ | 手付金等の保全措置 | |
新築未完成物件の場合に保全措置を要しない手付金等の額は「売買価格(税込総額)の5%」以内、かつ、1,000万円以下 | ||
完成済み物件の場合に保全措置を要しない手付金等の額は「売買価格(税込総額)の10%」以内、かつ、1,000万円以下 |
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