不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

市街化調整区域の土地でも家は建つ!?

市街化調整区域では、原則として新築住宅を建てることはできませんが、例外的に建築が許可される場合もあります。しかし、気をつけるべき点も多くあるため、安いからといって安易に購入することは考えものです。(2018年改訂版、初出:2005年11月)

執筆者:平野 雅之


市街化を抑制する目的で指定される「市街化調整区域」では、原則として住宅を建てることはできないのですが……。



question
土地を購入して家を建てるつもりでしたが、自分たちの予算に見合う土地がなかなか見つからず、計画の練り直しを考えていたところ、仲介業者の人から市街化調整区域に指定されている土地を紹介されました。いままで見てきた土地よりもかなり安く、予算的にはぴったりなのですが、何か問題はないのでしょうか。業者の人は「既存宅地の土地だから建築確認も大丈夫」と言っていますが、あまりよく分かりません。
(神奈川県 匿名 30代 男性)



(注:この記事は2005年11月時点でのご質問に対する回答であり、現在は適用のない「既存宅地」に関する記述が含まれています。また、市街化調整区域でありながら開発許可を受けて造成されたり、用途地域が定められたりした宅地などには該当しない部分もあります)

answer
市街化調整区域の意味合いについては知っているという人も多いでしょうが、原則的には「市街化を抑制する区域」であり、農林漁業を営む人の住宅など一定の建築物を除き、一般の人が住宅を建てることはできません。

都市区域の田畑

市街化調整区域では、周辺が田畑になっていることも多い

しかし、都市部近郊にも市街化調整区域に指定されているエリアが多くあり、そこには法律が適用される以前から建っている住宅も少なからず存在します。

後からできた法律によって個人の権利を否定し、「今後は建て替えなども一切認めません」というのは不合理でしょう。

そのため、従前から住宅が建っていた宅地などでは、一定の要件に該当する建物であれば都市計画法による許可がなくても、通常の建築確認手続きだけで新築や増改築を認めていました。これがご質問のなかにある「既存宅地」の制度です。

既存宅地であることの確認を受けた土地では、一定の用途や規模などに合致するかぎりは建築確認を受けられたため、(価格評価は別として)通常の中古住宅や土地と変わることなく売買されていました。

ところが、都市計画法の改正(2001年5月18日施行)によって「既存宅地」の制度が廃止され、従前から住宅が建っていたような宅地でも、都市計画法第43条の許可を受けなければ新たに建築などができないことになっています。

ただし、改正法の施行日以前に「既存宅地であることの確認」を受けた土地などでは、それから5年間に限り都市計画法の許可を不要とする特例措置がとられています。

ご質問の土地が「2001年5月17日以前」に既存宅地であることの確認を受けているなら、まだ都市計画法の許可を経ずに住宅を建築できる可能性もありますが、媒介業者の担当者が法改正の中身を理解しないままで、その土地を紹介していることも考えられなくはありません。

実際にはどうなのか、しっかりと説明を受けるようにしてください。

(追記:既存宅地に関する特例措置の適用期間はすでに終了しています)

しかし、既存宅地制度の廃止によって市街化調整区域内では一般の住宅をまったく建築することができなくなったのかといえば、決してそうではありません。


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