住宅購入の費用・税金/住宅ローンのしくみと選び方

「住宅ローン利用の特約」はその中身が大事

住宅ローンが承認されなかったときに売買契約を白紙解除することができるとする特約については、その解釈をめぐりトラブルを生じるケースが少なくありません。面倒な事態を避けるためには、特約の内容をどうすれば良いのか考えてみましょう。(2015年改訂版、初出:2006年6月)

執筆者:平野 雅之


売買契約での「住宅ローン利用の特約」をめぐっては、トラブルを生じるケースが少なからずあるようです。



question
中古住宅の売買契約を締結して都市銀行へ住宅ローンを申し込んだのですが、借り入れを予定していたローンが承認されませんでした。契約書には「住宅ローン利用の特約」があるため、契約を白紙解除したい旨を仲介業者の人に伝えたのですが、「それでは売主が納得しないから別の金融機関へ申し込み手続きをしてくれ」といわれました。そのまま業者の人がいうとおりにしなければいけないのでしょうか?
(神奈川県川崎市 NOさん 30代 女性)



answer
住宅ローンの申し込みが承認されなかったときには売買契約を白紙解除することができるという「住宅ローン利用の特約」(融資利用の特約)ですが、実際に金融機関の審査がダメだったときに、その解釈をめぐってトラブルを生じるケースが多いようです。大阪のYさんからも同じようなご質問をいただきました。

電卓の画像

借りられさえすれば、どんな住宅ローンでも良いわけではないのだが……

住宅ローンは自由に選べない?≫ でも説明していますが、民間の金融機関では一般的に、借りる側にとって返済条件の良い住宅ローン商品ほど審査の基準は厳しく、条件が悪くなるほど審査が緩くなります。

そのためA銀行のA住宅ローンでは否認されたものの、金利が高めのB銀行のB住宅ローンならOKというケースも出てくるわけです。

このとき「A銀行がダメだったから」という理由で売買契約を白紙解除しようとしても、売主がすんなりと納得してくれるとは限りません。

売主にも都合がありますから「A銀行がダメでもB銀行で借りればいいじゃないか」と考える売主も多いことでしょう。

白紙解除になれば媒介業者も手数料をまったく得られないため、何とか売買契約を続行させようとして、AがダメならB、BがダメならC、などと次々に申し込みをさせようとするケースが出てきます。

当然ながら次第に条件は悪くなっていきますから、いわれるままに申し込みを続けていたら泥沼へ嵌まり込むことにもなりかねません。

それでは、このような事態を避けるためにはどうすれば良いのでしょうか?


住宅ローン利用の特約は、曖昧さを残さないことが大事…次ページへ

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