住宅用火災警報器が取り付けられていなかったら
もし仮に、購入した中古住宅に住宅用火災警報器が設置されていなかったとしても、買主が自分で取り付ければ済む問題です。住宅用火災警報器は家電量販店やホームセンターなどで売られており、安いものは1台4~5千円程度から。6台を取り付けても3万円くらいですから、それほど大きな負担増になるわけでもありません。また、その取り付けも自分で簡単にできるため、コンクリートの天井や壁、かなり高所の天井などでないかぎり、取り付け工事を業者に依頼する費用の負担もありません。
それでも「中古住宅の “売主が” 住宅用火災警報器を取り付けているかどうか」については十分に注意をするべきなのです。
まず、中古住宅の売主が住宅用火災警報器を取り付けていなかった場合、想定される理由を考えてみましょう。
□ どうせ売ってしまう住宅だからどうでもよかった
□ 自分で取り付けるのが面倒だった
□ 法改正の情報に疎く、義務化される(された)ことを知らなかった
□ たとえ数万円でも負担するのが勿体なかった
□ その数万円の余裕すらなかった
もし実際にアンケート調査などをすれば、もっと違う理由がいくつか出てくるかもしれませんが、おおむねここに挙げたようなネガティブなイメージでしょう。根底には「その住宅に愛着がない」「その住宅に不満だらけだ」といった意識があることも十分に考えられますね。
住宅用火災警報器のある中古住宅を選ぶべき!
改めていうまでもなく、中古住宅は建てられた後の、所有者または居住者による適切な維持管理やメンテナンスが重要。築浅のうちはそれほど目立たなくても、ある程度の年数が経つと大きな違いとなってあらわれることもあります。さらに、中古住宅の売主には売買契約前の告知義務を含め、万一の場合の瑕疵担保責任などに対する順法精神、平たくいえば買主に対する真摯な誠実さも求められます。
そのとき、「住宅用火災警報器は取り付けなかったけど、それ以外のメンテナンスはすべてバッチリ!」「住宅用火災警報器の設置義務は無視したけど、他の住宅に関するルールはすべて必ず守る!」などということがあるでしょうか。どんな法律やルールでも厳格に守るという聖人君子のような人はいないとしても、せめて住宅についてのルールはしっかりと守る売主であってほしいものです。
そう考えると、少なくとも住宅用火災警報器設置の義務化期日を過ぎた市町村の中古住宅なら「住宅用火災警報器が取り付けられたものを選ぶべき」だといえるでしょうね。
もちろん、気にいった住宅があったときに「住宅用火災警報器が付いていない」という理由だけで諦める必要はありません。しかし、2つ以上の住宅でどちらかを選ぼうとするとき、一方に住宅用火災警報器があり、もう一方にそれがなければ、迷わずに住宅用火災警報器があるほうの住宅を選んで構わないでしょう。
住宅用火災警報器のチェック。それは金銭的な負担の問題なのではなく、売主のチェックそのものなのです。
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