最大限の恩恵を受けられるのは高所得者だけ?
来年以降の住宅ローン控除制度が「最大控除額600万円、控除期間10年、控除率1%、対象は所得税のみ」となったとき、それを最大限に受けられるのは所得税が年額60万円を超える人(かつ、10年後の住宅ローン残高が6,000万円を超える人)です。一人ひとりの条件によっては今年のほうがトクなケースも |
つまり、年収が1,000万円を下回る世帯では「最大控除額600万円」に届かないばかりか、(上記の標準世帯で)年収500万円なら所得税額は6万円弱、年収700万円でも所得税額は17万円弱にすぎませんから、最大控除額ははじめから縁がないことになってしまいますね。もっとも、その前提として「住宅ローンの年末残高が6,000万円超」の大きなハードルが立ちふさがることになりますが…。
それでも、標準世帯で年収500万円前後の人は所得税が約6万円、住民税が約14万円、同様に年収600万円前後の人は所得税が約9万円、住民税が約22万円、年収が700万円前後の人は所得税が約17万円、住民税が約30万円ですから、住宅ローン控除の対象に個人住民税が加われば、来年以降のメリットが大きく変わってくることになります。
また、最大控除額が同じく600万円としても、たとえば控除期間が10年ではなく15年(年間の最大控除額が40万円)、控除率が1%ではなく2%などとなった場合にも、恩恵を受けられる世帯が大幅に増えることになるでしょう。
年内入居か、年明け入居か?
すでに住宅を購入して年末までに引き渡しを控えている人、あるいはこれから中古住宅や完成済みの新築物件を購入しようとしている人は難しい判断を迫られます。住宅ローン控除に関する入居要件(居住を開始した年の制度を適用)がこれからも踏襲されるものとして考えることになりますが、年末までに入居するか、それとも年明けに入居するかによって適用される控除額が変わることになります。
このとき、所得税額が16万円を超える人(標準世帯で年収700万円前後から)であれば、年明けまで待ったほうが有利になる可能性が高いでしょう。ただし、その場合には今年の所得に対する控除がなくなることに注意しなければなりません。
しかし、それ以外の人(所得税額が16万円未満の人)は年内に入居したうえで、今年の制度である「控除期間15年」を選択したほうが有利なケースもあり得るのです。
具体的には毎年の所得税額、住宅ローンの借入れ額と返済年数などによっても違いが生じますが、これからの税制改正論議の動向を注視し、住宅ローン控除の対象に個人住民税が加わるのかどうか、控除期間がどうなるのか、控除率はどうなるのかなどをよく見極めなければなりません。そのうえで今年の制度と来年の制度とで試算をして比較することになります。
今年の所得税額が分からないという人は、会社の源泉徴収や年末調整を担当する部署などに問い合わせれば概算は教えてくれるでしょう。とくに、今年結婚した人、子どもが産まれた人などは要注意です。
〔これからの注目ポイント〕
□ 住宅ローン控除の対象に個人住民税が加わるか?
□ 控除期間は何年か?
□ 控除率は?
例年どおりであれば12月中旬頃までに税制改正の中身が明らかになりますが、それまで待っていては引越しの段取りがつかないこともあるでしょうから、新聞などで報道される税制改正論議の動向から目が離せませんね。
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