■ マンション市況の回復は早くても来年秋か?
マンション市況が回復するためには、まず現在の不況感が薄れ、経済の先行きに明るい兆しがみえなければなりません。需要の回復があまり見込めないなかで、積極的に事業を展開できるマンションデベロッパーはごく一部にかぎられるでしょう。
一方で、「地価の下落はそろそろ底を打った」として、事業用地取得の再開方針を表明したマンションデベロッパーも、9月あたりからちらほら現われているようです。すでに実際の取得ができたのかどうかは分かりませんが…。また、外国の投資マネーが日本の不動産取得を再開するという話や、東京都心で大型再開発事業が始まるという話題など、市況の回復を見込んだ動きも少しずつ出てきています。
また、不動産経済研究所の調べによれば、首都圏における今年(2009年)9月の新規マンション供給戸数が25か月ぶりに前年同月比で増加となったようです。ただし、ずっと供給戸数の減少が続いていたため、増加したといってもかなり低水準のままで、販売開始時期を調整したことによる一過性のものかもしれません。
さらに内閣府による景気動向指数でも「景気回復局面」が打ち出されるなど、徐々に改善の兆候がみられるようにもなっています。
それでは、マンション販売の現場が活気を取り戻すのはいつごろになるのでしょうか? 市場が回復の兆しをみせるのは、やはり東京都からと考えるのが妥当でしょうが、その東京都の分譲マンション着工戸数も前年同月比72.3%減(8月)、71.2%減(9月)といった数字が並んでいる状況です。
一部では来年(2010年)春ごろにだいぶ好転(販売戸数が増加)するという予測もあるようですが、私の個人的な予測では秋ごろ(9月~10月)以降にずれ込むのではないかと感じています。どれくらいの戸数水準になれば回復とみるのか、といった問題もありますけどね。おそらく数年前のような高水準を取り戻すことはないでしょう。
マンションは用地の仕入れから事業計画、建築確認、そして着工までにかなりの期間を要します。法律上では建築確認を受ければ販売を開始できるのですが、これまでの事例では着工から4~6か月後あたりに販売が開始されることが多いようです。
仮に、マンションデベロッパーがすでに仕入れている用地が多くあり、もし今月(2009年11月)の時点で新築マンションの着工戸数が急激に増えているとしても、それが新規発売戸数に反映されるのが来年の春ごろになるわけです。しかし、街なかを車やバイク、電車などで移動していても、建売住宅の工事現場はそこそこ目につくのに対して、マンションの工事現場が増えているような印象はあまり感じられません。
さらに、今月や来月の時点で新たに事業用地を仕入れたとすれば、着工できるのが早くても来年の春(マンションの規模や近隣対策の難易度などによっても大きく変わります)以降で、販売開始を前倒しするとしても秋の需要期に間に合うかどうかといったところでしょう。
中堅マンションデベロッパーに対する金融機関の融資姿勢次第では、数字上の回復が再来年(2012年)以降にずれ込み、来年は大手デベロッパーの物件ばかり(供給エリアは都心部ばかり)が目立つ状況となる可能性も考えられます。
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