国土交通省がまとめた今年度(2009年度)上半期(4月~9月)の新設住宅着工戸数は、前年同期を33.9%下回る38万4,175戸にとどまり、統計を取り始めた1965年以降で最低だったようです。65年以前はまだ戦後復興の途上ともいえる時期ですから、いま現在は「初めて直面する住宅不況」だとみることもできます。
住宅着工のなかでもとくにマンションの落ち込みが激しく、前年同期比では68.3%減となっています。昨年(2008年)の春頃から相次いだマンションデベロッパーの倒産は、今年5月、6月あたりでほぼ終息していますが、決して市況が好転しているというわけではありません。在庫の処分をするだけで、新規事業をストップしているから倒産には至らない、という状況のところもあるでしょう。
それでは、マンション市場の低迷状態がいつまで続くのでしょうか。現在の住宅着工の状況を踏まえながら、少し考えてみたいと思います。
■ 分譲マンション着工の異常な落ち込みが続いている
まずは、2007年1月からの分譲マンション着工戸数の推移をみてみましょう。東京都の分譲マンション着工戸数が過去最高などと報道されていたのは、07年4月のことです。その後、07年6月の建築基準法改正(建築確認の厳格化)によっていったん大きく落ち込みましたが、9月を底にして徐々に回復していました。
ただし、この時期あたりまでは分譲マンションとして着工されながら、投資マネーなどに1棟丸ごと買われていた例もあり、必ずしもその後の販売戸数に反映されているわけではありません。
08年5月からは販売価格高騰による売れ行き不振などを背景に、マンションデベロッパーの倒産が目立ち始め、先行きの不透明感が広がっていました。そんななかで、9月に起きたリーマンショックを境に市況が悪化の一途をたどり、かつてないほどの着工戸数の落ち込みがこれまで続いています。
次は今年1月から9月までの分譲マンション着工戸数における、前年同月比の推移です。なお圏域の分類は国土交通省の発表資料に基づいています。
中部圏では1月と3月に大幅な増加となっていますが、これは前年が極端に少なかったことに対する反動のようです。
半減(50%減)でもただならぬ異常な事態でしょうが、とくに6月以降は各圏域とも60%を超えるような大幅な落ち込みが目立ち、3大都市圏以外の「その他地域」では90%に迫るような激減も記録しています。
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