建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

一戸建て感覚で都心に住む魅力 桜新町のコーポラティブハウス(2ページ目)

コーポラティブハウスのプロデュース会社・アーキネットが桜新町に建てた「桜新町ロウハウス」の一室を見学しました。4世帯が入居する長屋形式の小規模コーポラティブハウスです。

執筆者:坂本 徹也

石田さんのお宅は壁面がコンクリートの打ち放し、一方の壁にはお洒落な色の違い棚を付けて小物の収納にされています。もう一方は大きな壁面がそのままですが、壁から少し離した形で板を張り、そこにできた微妙な隙間に豆電球を配して、光る壁をつくりだしています。ちょっとムードのあるインテリアですよね。

設計を担当した橋爪さんは言います。「ここは4世帯全員がご夫婦で働いておられるので、家にいる時間の9割が夜なんです。だから照明が大切だなと思って、石田さんのお宅ではちょっと工夫して補助照明を使ったプランにしました。壁にライトが入っているので、夜はとってもステキですよ」
橋爪さんはここでもう1軒担当していますが、そこはアメリカ風のインテリアになりました。住み手の人がアメリカから素材を持ってきて、自分でもつくることに参加されたそうです。

石田さんの家は、リビングと階段室を隔てる壁がポリカーボネイトになっており、階段室のトップライトから落ちてくる光がリビングに入ってきます。またバスルームにもトップライトが付いていますから、陽光のもとでの入浴が楽しめるし、夜は星空の下で入浴することができるわけですね。

さらに4階のクローゼット付きの寝室は、最上階だからかなりの高さ。その下は企業の駐車場ですから視線を遮るものがなく、広々とした眺望が得られます。駐車場は夜には締め切られるので、プライバシーを気にする必要もありません。

スケルトンと残る2世帯のインフィルを担当した後藤さんは言います。
「コーポラティブハウスはマンションとは違って法的には長屋なんですよ。長屋という形式で1軒1軒家が寄り添って建ってるんだけど、それぞれが個性を持っている、だけど町並みとか環境に対してはきちんとした調和をなしていると。それは新しい時代の長屋ということだと思います」

分譲マンションのように決まり切った部屋には住みたくない、だけど一戸建てを建てるのは、経済的にむずかしい、そんな時代の背景をくみ取って生まれたコーポラティブハウス。それが新しい町並みを形成していく日も、そんなに遠い先のことではないかもしれません。

アーキネット:http://www.archinet.co.jp/

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