NGOが国際社会を動かし、実現したクラスター爆弾禁止条約
一般市民をも巻き込む非人道な兵器であることから、国際社会ではクラスター爆弾の廃絶が求める声が高まっていました。それを受けて、2008年5月、ダブリンで開かれたクラスター爆弾に関する外交会議(通称・ダブリン会議)で採択されたのがクラスター爆弾禁止条約です。
条約には過去に使用されたクラスター爆弾を全廃し、各国が保有しているクラスター爆弾を8年以内に廃棄、不発弾を10年以内に撤去、被害者、家族、コミュニティを包括的に支援するなどが盛り込まれています。日本を含めた条約加盟国は2018年までの廃棄を義務付けられることになります。
そして、この条約が採択されるまでに大きな力を果たしたのが、ノルウェーなど有志国と呼ばれる廃絶に積極的な国々と、各国のNGO なのです。日本では地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)が中心となり、海外のNGOとネットワークを作って取り組んでいます。当初、クラスター爆弾の「非人道性」に懐疑的だった国際社会に対して、独自の調査や研究を重ね、世論を作っていったことが、条約の採択に結びつきました。この条約は市民主導で作られ、発効された軍縮条約なのです。
現役の非人道兵器が廃絶に向けて
各国が協調して軍縮へ動き出したという大きな意味を持つ条約です
NGOが兵器の廃絶を国際社会へ呼びかけた前例に地雷の禁止を求めた対人地雷禁止条約(オタワ条約)があります。これは1999年に発効されましたが、実はその時点で、地雷は「時代遅れの兵器」といわれていました。すでに兵器の主流は、クラスター爆弾に移っており、地雷は時代遅れだったからこそ条約発効へ各国の足並みが揃ったともいわれます。
しかし、クラスター爆弾はまだまだ現役。アメリカ軍が持つ火力の兵器では半分以上がクラスター爆弾であると防総省高官が発言している※)ほどなのです。それが、廃絶へ向けて国際社会が動き出したわけですから、この条約が発効されることの意味の大きさもわかるというものです。
※毎日新聞2010年2月18日付の記事を参照しています。