可憐なオレンジの花飾りは花嫁のシンボル
白のウェディングドレスとベールを身にまとったヴィクトリア女王。その頭を飾ったのは豪華な王冠ではなく、オレンジの花(オレンジブラッサム)の造花で作った花飾りでした。ギリシア神話では、ゼウスがヘラとの結婚の際にオレンジを贈ったという話があり、ヨーロッパでは結婚の時に花嫁がオレンジの花を頭に飾る習慣がありました。オレンジの花は白く清らかで、とても甘い香りがします。また、繁栄と多産のシンボルともされており、結婚式にはまさにぴったりのモチーフといえるでしょう。
ただ、オレンジの開花時期は非常に短いため、花嫁の花飾りとしてはロウワックスで作った造花が使われることが多く、その花飾りもベールと同様、受け継がれたといいます。展覧会では、可憐なオレンジブラッサムの花飾りも展示されており、その繊細な造りには驚かされます。ちなみに、オレンジの花言葉は「花嫁の喜び」。現代でも、爽やかなガーデンウェディングなら、ティアラよりもオレンジブラッサムの花飾りのほうが、より自然で可憐な印象になるかもしれません。
女王が有名にした3段重ねのウェディングケーキ
3段重ねのウェディングケーキはイギリスの定番 |
イギリスでは18世紀末に、ロンドンの菓子職人であったウィリアム・リッチがセント・ブライド教会の尖塔をヒントにピラー(柱)状に積み上げるウェディングケーキを考案していました。一般にはなかなか広まらなかったのですが、半世紀を経て、ヴィクトリア女王の結婚式の大きなケーキが引きがねとなり、ウィリアム・リッチ式の背の高いシュガーケーキが大流行。以来、イギリスでは結婚式には3段重ねのウェディングケーキを出すのが定番になったといわれます。なお、シュガーケーキは長期保存が可能で、段重ねの一番下は披露宴の列席者に、中段は当日列席できなかった遠方の方々に食べていただき、最上段は結婚1周年か赤ちゃんが生まれるまで大切に保管されます。
貴重なコレクションでヴィクトリア女王時代の結婚式を紹介する「アンティークレースとシュガーケーキのウェディング」は8月31日まで。美術館は涼しい那須にありますので、避暑がてら訪れてみてはいかがでしょう。なお、9月1日~10月31日までは「ヴィクトリア時代の銀器によるテーブルセッティング」、11月1日~12月25日までは「ヴィクトリア女王とアルバート公のクリスマス」となります。
■穐葉アンティークジュウリー美術館
住所:栃木県那須郡那須町高久丙1790-20
TEL:0287-76-4580
開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで) 無休
入館料:1000円
交通:車/東北自動車道那須ICより15分
電車/JR黒磯駅よりバス(東野交通)で30分、穐葉アンティークジュウリー美術館前下車(東京から行く場合は、東北新幹線で那須塩原まで行き、東北本線で黒磯まで出るといいと思います)
URL:http://www.jewellery-museum.com/
■「結婚式」サイト内での関連記事
ウェディングケーキ始めて物語1
ヴェールのヒ・ミ・ツ