ヴィクトリア女王の婚約指輪は蛇のモチーフ!?

いつの時代も、どの国でも、王室(皇室)の結婚式は注目を集めるものです。ロイヤル・ウエディングで行われたことが、結婚式の流行を作ることも少なくありません。その元祖といえるのが、19世紀のイギリスを統治したヴィクトリア女王なのです。

美術館
バラのガーデンが美しい穐葉アンティークジュウリー美術館
このヴィクトリア女王の時代に注目した展覧会「世界一幸福だった女王の時代展」が那須の穐葉アンティークジュウリー美術館で行われています(2005年12月25日まで)。展覧会は期間ごとにテーマが設けられており、現在は「アンティークレースとシュガーケーキのウェディング」(6月21日~8月31日)と題し、ヴィクトリア時代の結婚式にまつわる品々が展示されています。今回は、こちらの展覧会をベースに、ヴィクトリア女王時代の結婚式をご紹介します。

さて、このヴィクトリア女王、イギリスの最盛期を現出させた女王として、イギリスでは今も大変人気があります。外にあっては女王として上手に政治の舵取りをし、内にあってはよき妻、良き母として円満な家庭を作り上げたところが、国民に愛される所以でしょうか。そんな彼女が結婚したのは1840年、20歳の時。即位して2年後のことでした。
お相手は従兄弟であったアルバート・オヴ・ザクセ=コーブルグ。誰も女王にはプロポーズできないため、女王からプロポーズして結婚にこぎつけたとか。

結婚に際して、女王はエメラルドのついたゴールドのスネークリングを婚約指輪として選びました。蛇というと、なんだか不吉で気味の悪いものととらえられがちですが、実はヨーロッパでは「永遠の愛」を象徴し、恋人へのプレゼントのモチーフとしてよく使われていたものとか。この時代、イギリスではヴィクトリア女王を真似て、スネークリングを贈る人が急増したといいます。そして、結婚に際して指輪を贈る習慣も、この頃から庶民へと広まったとされています。

展覧会ではヴィクトリア時代の結婚・婚約指輪を展示。スネークリングのほか、ふたつの手をつないだ形のリングや愛の言葉を刻んだポージーリングなどをみることができます。

母から娘へと受け継がれるウェディングベール

ドレス
ヴィクトリア時代のウェディングドレス
白いウェディングドレスもヴィクトリア女王から始まったもの。当時の上流階級のウェディングドレスは色が濃く、金糸や銀糸などで装飾をしたゴージャスなものが多かったのですが、ヴィクトリア女王が「純潔」を表すために乳白色のシルクサテンで作ったドレスを着用。それがやはり庶民に広まり、ウェディングドレス=白というイメージができ上がりました。なお、当時は白といっても純白ではなく、クリーム色といったほうがいい色だったといいます。

当時のウェディングドレスは、胸元と袖口にレースをあしらうのが基本で、ヴィクトリア女王のウェディングドレスにも襟と袖口にデボン州のホニトンレースが使われました。デボン州のレースを使用したのは、国内産業の振興という意味合いもあったようです(さすが女王!)。

肖像
右が晩年のヴィクトリア女王、左が女王の末娘のベアトリス王女の写真
たっぷりとしたウェディングベールにもデボン州のホニトンレースが使用されました。このベールは結婚式後も女王が折りに触れてまとったといわれ、また、子供たちのクリスニング(洗礼命名式)の時にもこのベールが使われたといいます。さらに、女王の娘たちは自身の結婚式に母のベールを身に付けたといいます。レースは当時のヨーロッパでは富と権力を象徴するものとして、宝石よりも高価で価値のあるものとされており、代々受け継がれていくものだったのです。

このベールの継承、現代でもできそうな素敵な習慣ですよね。ウエデイングドレスを作るのは大変だし、保管場所にも困ってしまうけれど、ベールなら場所を取らないし、赤ちゃんのお宮参りの時にも活躍しそうです。

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