「純米酒フェスティバル2010春」
昼夜1500人の参加者で盛会開催

毎年春と秋に開催されており、今年21回目を迎える「純米酒フェスティバル2010春」。今年は、1500人以上の日本酒ファンが昼夜一同に会し、全国52蔵からの純米酒を堪能した。
精米歩合9%の「亀の尾」で造られた『純米大吟醸 亀の甲 寿亀神韻』。格調高いラベルも印象的。

なかでも、ひそかな注目を浴びたのが、兵庫県姫路の田中酒造場が発売している『純米大吟醸 亀の甲 寿亀神韻』だ。

驚くことに、この酒、精米歩合9%、そう、米の91%を削ってしまったという贅沢きわまりない究極の大大大吟醸酒なのだ。酒米も、極上といわれる「亀の尾」だというから、これまた驚き。

ご存知のように、米の外側は、酒にすると雑味になる成分が多く、精米歩合を増すごとに、キレイですっきりと洗練された味わいになるといわれている。

ちなみに「吟醸酒」を名乗る場合、精米歩合は60%以下。「大吟醸酒」の場合は50%以下。「以下」であるから、最近では、40%台、30%台、いえいえ20%台という大吟醸が徐々に増えてきた。

もちろん、高精米になればなるほど、高度な精米技術が必要で、リスクやコストも高くなる。精米9%にする場合、精米時間は100時間もかかるのだとか。 気の抜けない100時間であろう。

もともと田中酒造場は、精米歩合の高い吟醸酒に力をいれていたお蔵。さらなる技術向上の努力とともに栽培農家との連携で、精米歩合9%の酒造りに成功したのだ。


精米歩合9%『純米大吟醸 亀の甲 寿亀神韻』

で、味わい。
削りすぎは、薄っぺらな味になるのでは?
と思いきや、これが、しっかりと旨味のあるとてもバランスのいい味わいに仕上がっている。

精米歩合9%の亀の尾。最小サイズの真珠の玉やビーズの玉にも見える。
華やか過ぎないみずみずしい果物のような吟醸香、一口含めば、滑らかで艶があって、まろみさえある第一印象。つるりとした、そう、まるでクリスタルの球体を嘗めているような舌触りとでも言おうか・・・。中盤から後半にかけて、米の旨味がじんわりと感じられ、日本酒らしい軽やかなコクが楽しめる。亀の尾のおかげか・・・。あと味はすっきりとした中にも甘味が心地よく残り、アフターは嫌味なく消えていく。

あれだけ削っているのに、この旨味。これが驚きのポイントなのである。限定400本ではあるが、720mlで10,000円(税別)は、これまた驚きの価格だろう。「奇をてらうわけではなく、挑戦することが大事」とは田中当主の言葉だ。

ちなみに、現在、精米歩合9%の大大大吟醸酒を造っているのは、福井の「梵」、宮城の「伯楽星」、茨城の「来福」、さらに田中酒造場の4社だとか。高精米同士の飲み比べ、精米歩合違いの飲み比べ、など出来る日がくるかと想像するとちょっとワクワクしてくる。


→次ページで会場の様子とおすすめのお酒をご紹介。