日本酒/おすすめの日本酒

「獺祭」とフランス料理のマリアージュ(2ページ目)

新春最初の記事は、ますます注目の山口県旭酒造の「獺祭」を、精養軒スタイルのクラシックフレンチを旨とする東京学士会館「ラタン」のマリアージュの体験リポート。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

精養軒流の伝統フレンチとのマリアージュはいかに?

獺祭&ラタン
クラシックなインテリアのレストランで、今から空けられるボトルに期待が高まる
さて、桜井社長とともに、東京学士会館レストランLatin(ラタン)大坂勝シェフのフランス料理と「獺祭」を楽しむ会に参加した。

1928年(昭和3年)に建築された学士会館は、国登録有形文化財にも登録されているクラシックな空間が魅力。レストラン「ラタン」は、伝統的な精養軒スタイルのフレンチを提供してくれるレストランで、古典的なフレンチを得意とする大坂勝シェフが、饗されるすべての「獺祭」銘柄をテイスティングし、料理を考案してくださった。

当日のメニューは以下のとおり
・Amuse Bouche(お酒に感謝 お楽しみ先付け)
・Foie gras poele en navet comme HOUSHO(フォワグラのポワレ近江蕪の奉書巻き)
・Morue a la meuniere et laittanc(真鱈と白子のムニエル ケッパーソース)
・Granite(一寸小休止)
・Canard roti et poireau au lardon(仏産鴨のロティ 葱とベーコンのアンサンブル)
・Dessert et Café(デザートとコーヒー)

まずは、「発泡にごり酒50シャンパン瓶」

獺祭&ラタン
大人気のシャンパンスタイルの発泡清酒。米の旨さが生きる
今や全国のお蔵元がこぞって造る発泡清酒。なかでもダントツの人気を誇り、最近では本家フランスでも飲まれ始めているという「発泡にごり酒50シャンパン瓶」にて乾杯。

 

獺祭&ラタン
注ぐタイミングによって、濁り具合が変わる。これもお話のネタのなるポイントだ
山田錦を50%に精米した純米吟醸の発泡性。「米粒が残っている濁り酒には、精米歩合の高い最高の米を使わないとおいしくならない」と社長。これには、なるほど納得。米を食べる(飲む)わけでもあるからね。

 

獺祭&ラタン
アミューズ(先付け)のイカやサーモンなど、軽やかな旨味がスパークリングの軽快な味わいとよくマッチしていて、思わず会話も弾む。乾杯からアミューズにかけては、このくらい華やかな飲み物がやはりうれしい。

 

「純米大吟醸50」

獺祭&ラタン
フォワグラが見えない奉書巻き風。発泡酒も良く合う
フォワグラのポワレには「純米大吟醸50」をあわせる。

薄切りの蕪に巻かれたフォワグラは、同じ蕪のすり流しと鴨の出汁のせいか、脂っこく感じない。日本人シェフらしい仕事と感じる仕上がり。50%精米の大吟醸のまろやかさが、料理とよくマッチ。料理の軽やかさとコクに、お酒が持つみずみずしさと旨味がぴったりくる。

 


「磨き二割三分」

獺祭&ラタン
 
鱈と白子のムニエルには「磨き二割三分」。

はいー、きたー、人気の磨き23%の純米大吟醸! 繊細な真鱈の旨味、白子のとろとろ感に、「二割三分」の華やか過ぎないフルーツ香と柔らかく練れた舌触りとまろみが、もう、最高のハーモニーを奏でる。とてもゴージャスな組み合わせ。紫色の庄内葱とノリの風味満載のソースは塩味がぐっときいていて和風のテイスト。塩味が日本酒のおいしさを引き立ててくれる。

 

「磨き二割三分」のグラニテに感動!

獺祭&ラタン
清酒の香りが華やかに香るグラニテ。フランス人も好きそう
うれしいのは、これ。

蕪と「磨き二割三分」のグラニテ(お口直しに出される粗いシャーベット)。しっかり清酒の香りがあり、品のいい甘みが心地いい。もう、参加者、満面の笑み。

 

「磨き三割九分」

獺祭&ラタン
伝統的な鴨の料理。厚みと飲みごたえある「39」がバランスをとってくれる
メインの鴨のロティに「磨き三割九分」。

バルバリ産の鴨。きめ細かで野趣あふれる鴨らしい赤身肉の噛み応えと香ばしさがいい。ややソースが少なめで、「焼き鳥」感覚のあるお皿。これは、日本酒に合わないわけがない。ややボディ感のある「三割九分」は、お肉の重い旨味も肉の食感も焼いた香ばしさも、すべてを受け止めてくれる許容量があるようだ。

 


獺祭&ラタン
デザートにも「獺祭」をあわせたい。スイーツと日本酒の相性の良さももっとPRしたいところ
今回、4銘柄をいただいた「獺祭」に感じる全体の印象は、「香りは華やかすぎず、味にはまろみがある」ということ。磨きの高い吟醸はおうおうにして、フルーツ香やエステルっぽい香りが鼻につきつんつんしたり、飽きてしまったりするもの。

高度の磨きがメインコンセプトである「獺祭」には、なぜかそれがないところが、とても不思議で、魅力に感じられる。

 


獺祭&ラタン
ステキな笑顔の桜井社長(左)と大坂シェフ(右)
桜井社長いわく「精米歩合を高めると熟成が早くなる」のだとか。スコッチにたとえれば、「50が12年もの、39が18年もの、23が25年もの……のようなイメージ」と。なるほど、これまで日本酒にはなかった発想かもしれない。

 

獺祭&ラタン
料理を用意してくれた若きスタッフの方たちと食後の歓談もうれしい
この30~40年間で日本酒の売り上げは完全に右肩下がりの中、旭酒造は20年間に、実に、約500%の売り上げ増を記録しているという。2010年も国内外、ますます目が離せない銘柄だ。
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