焼酎/麦焼酎

あこがれの宮崎「黒木本店」リポートその1

ずっとあこがれ続けた宮崎の黒木本店に行ってきた。元祖幻の焼酎「百年の孤独」や「野うさぎの走り」「爆弾ハナタレ」「中々」「きろく」「たちばな」を生み出す黒木さんとは?

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

黒木さんに会いたい一心で・・・

半年も間を空けず、立て続けに宮崎県高鍋町に行ったのにはワケがある。 私をこの町に引き寄せるのは、ほかでもない、高鍋の「地焼酎」だ。
7~8年前になるだろうか、東京で開催された飲食業界向けの講演会でお話をされていた高鍋の焼酎メーカー「黒木本店」代表、黒木敏之さんのかっこよさに、ワタクシ、もうイチコロだったのだ。

あれから、黒木さんに会いたい会いたいと願い、黒木の焼酎を飲み続け、希望とか想いを通り越して、執念に近い気持ちを抱いていた。
で、今回、会えました。
やっと・・・。
願えば叶うね。

ちなみに、前回高鍋に行ったのは、この町の居酒屋の取材のため。このリポートにものちほど登場するのでお楽しみに。

宮崎空港から日向灘と県木フェニックスを両サイドに見ながら国道10号線を小一時間ほど北上すると、黒木本店がある高鍋町に到着する。
高鍋は、古い城下町であり、藩校からは多くの人材を輩出した歴史と文化の町でもある。さらに航空自衛隊基地が近くにあるためか、町の規模のわりには飲み屋が多いのも特徴。また、サーフィンのメッカとして若い人たちにも人気の町である。

この町の中心部に位置する黒木本店。
お迎えくださるのは、株式会社黒木本店4代目である黒木敏之代表取締役社長と、工場長の角上(かくがみ)愼一さん。(角上さんは、黒木社長の同級生でもあり、決め細やかな気遣いをしてくださるこれまた実にカッコイイ人なのであった)


まるでスコットランド、尾鈴山蒸留所

この日最初に見学させていただくのは、尾鈴山蒸留所。
高鍋の中心からも眺めることが出来る尾鈴山の山中に蒸留所が造られたのは1998年(平成10年)6月19日(ふふ、私の誕生月日と同じ、ここにも縁を感じる)。

近代化事業ならバックアップ可能という国税庁からの要請があったが、木桶や甕など昔ながらの道具を使い、全工程すべて手造りという黒木さんの提案に国側は驚く。
しかし、規格品を大量に造る時代は終わり、人と大地が一体となった、安全で自然なものつくりこそが近代化だと説得し、この尾鈴山蒸留所建設が実現化した。さっすが、あっぱれ! こういうところが、もうすごくかっこいいんですねぇ。

まるでスコットランドのウイスキー蒸留所のような趣のある尾鈴山蒸留所。麹室から二次仕込みをする建物と機械系のある建物が左右二つに連なる。

高級温泉旅館のような佇まいも見せる。現在、男性5人、女性3人のスタッフが働く。

熟成庫。近くに流れる小川からはせせらぎの音が。

清潔な蒸し釜

手造りで作業を行う麹室。部屋の温度は35度。すべて二条大麦「ニシノホシ」だ。

50年は持つという飫肥(おび)杉を使用した木桶。4年前からこのスタイルに。
昔は甕を使用していたけれど、酒に土癖・甕癖がつくのと、どこの土を使用しているかわからないといった疑問を感じ、この地元産の木桶に代えた。原料も造りも宮崎生まれなら、熟成にかかわる品々も宮崎産にものにしないと意味がない。

もろみは14日目で蒸留。ここでは蒸留後2年間は熟成させてから商品化することをルールとしている。

りんごのような甘酸っぱい香りが立つ「カプロン酸」主体の酵母を使用。

蒸留したての麦焼酎。やや濁りがある。味わいはおどろくほどまろやかで華やか。

新しく清らかなタンクが並ぶ。酒造りは清潔さも要である。

庭には、猫のオブジェが・・・。これがあの山猫か・・・。


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