日本酒/酒造、酒蔵訪問

菜の花とクレソンが咲き乱れる春の天山酒造(2ページ目)

佐賀県小城市の天山酒造にお邪魔した。お蔵の前を流れる祇園川には鮮やかに咲き乱れるの菜の花とクレソン! 酒どころに名水ありを実感した。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド


佐賀遺産のお蔵は、一見の価値あり

間近で見ると、白壁の美しさと巨大さにめまいがしそう


熱心な契約栽培家の方々のおかげでおいしいお酒がいただけますっ!
さてお蔵。
酒造業開始とともに歴史を歩む「明治蔵」と「大正蔵」、さらには「昭和蔵」が併設された広大な敷地をもつここは、佐賀県遺産に認定され登録有形文化財にも答申されている。いずれも木造2階建てで、かわら葺きだ。巨大な柱や長いと75メートルにもなる梁は圧巻。

また、日本酒製造が最盛期には、蔵ごとに杜氏がおり、それぞれに競わせたのだそう。今はひっそりとしている蔵も、お酒の香りがしみこんだ白壁や自然の形を生かした梁や急な階段は、その当時の熱気をつぶさに見てきたのだろう。

板張りの昭和蔵2階で開催されるクラシックやジャズのコンサートは小城市の名物にもなっている。お酒造り以外でも、蔵はさまざまな人に楽しみを与えてくれているのだ。


ジェット噴射の洗米機
蔵に入ると、精米業を営む歴史が物語るように、まずは巨大な精米機が2機、迎えてくれる。一機一日20俵の精米が可能。精米機の周辺には、天山酒米栽培研究会が丹精こめて造った契約栽培米の袋が並ぶ。

洗米はジェット方式。気泡で糠を吹き飛ばすやりかた。摩擦をしないのでいい蒸し米に仕上がるのだとか。いいお酒は「蒸し」の良し悪しが重要なキーポイントになるからね。

麹室は、昔ながらの手造り麹室と、超近代的なコンピューター管理の部屋がある。今回はお目にかかれなかったが、こちらの杜氏さんはとっても異色。杜氏としてはまだ若い42歳で、なんと元石油精製会社の電子機器エンジニアである。全くの畑違いからの転職というのは、ただただ驚くばかりだけれど、このコンピューター管理の麹室をみると納得できる気がする。前杜氏につき一から修行を積み天山の味を伝承している期待の若手杜氏さんである。

酒造りも最終盤にはいったこの時期、最後の瓶詰めを待つタンクが1つ。甘く香ばしい香りが漂っていた。

コンサートが行われる昭和蔵の2階。コンサート当日は、しっかりと1階に補強をするのだとか。

昔から使われている「あみだ車」とよばれる木造りの機械。

自然の形を生かした巨大な梁。これは後世に残したい。

ロングセラーの特別純米の竹包みは、1本1本手巻き!

作業をするおねぇさんの手さばきは、プロ中のプロだ。


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