日本酒/酒造、酒蔵訪問

菜の花とクレソンが咲き乱れる春の天山酒造

佐賀県小城市の天山酒造にお邪魔した。お蔵の前を流れる祇園川には鮮やかに咲き乱れるの菜の花とクレソン! 酒どころに名水ありを実感した。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

桜満開!清らかな名水の里にある伝統の酒蔵を訪ねる

お蔵の前は祇園川。豊かな自然に囲まれている。
名酒蔵のほとんどは、名水の里であり自然に恵まれた土地にある。
どの蔵にお邪魔しても、周辺の自然の美しさに感動するものだ。

しかし、しかし、天山がある小城市のそれは、やはりもう格別としか言いようがないものだった。おまけにうかがった3月末はぽかぽか陽気で、桜がほぼ満開。九州の小京都といわれる歴史の深いこの町が、桜の淡い紅色と菜の花の黄色とクレソンの濃いグリーンに彩られ、もうまさに感動の春爛漫を体験した。

青空に映えるお蔵のエントランス

そのままゴクゴクと飲めそうなくらいの清水

もともと天山酒造は、文久元年(1861年)創業の精米・製粉・製麺業が基になっている。お蔵の前を流れる祇園川をみると、その昔は、この豊かな水を利用して水車を回していたのだろうなぁと想像できる。

酒造業は、明治8年(1875年)から。
「祖父は、農業学校をつくり、当時の荒廃した農業の建て直しをしましたが、台風で祇園川が氾濫し学校が流されてしまったんです。うちの蔵も、蔵ごと流されましたよ。子どもの頃のことで今でも覚えています。そうそう、川のあちこちにこんもりと繁っている緑色、なにかわかりますか? クレソンなんですよ」
とおっしゃるのは七田利秀社長。天山酒造五代目である。

・・・で、なんと、クレソン! 野生の! うはっ、はじめて見た。流れる水の透明で清らかなこと。なるほど、これならクレソンもできる。なるほど、これならおいしいお酒ができるはずだと納得。

こんもりと盛り上がっているのがクレソン

さらに、小城はゲンジボタルでも全国有数の場所だ。全国から「うちが蛍では日本一」という蛍関係者(?)が来てもたいてい黙ってしまうほど、見ごたえがあるのだとか。次回は蛍のタイミングで来てみたいものだ。


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