日本酒/おすすめの日本酒

新ジャンル日本酒『全米酒』を味わう

常に新しい挑戦を続ける福島県二本松の「奥の松酒造」が送り出した新ジャンル日本酒『全米酒』。そのつくりと味わいは?

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

自社純米酒の「米スピリッツ」を使用


全米大吟醸“雫酒”伊兵衛
1800ml 10,500円(税込)
720ml 5,250円(税込)

ご存知ですか? 吟醸酒ができて35年、純米酒ができて25年。大昔からあったような気がするが、実は、はい、たかだかまだそんな程度の歴史なのである。意外でしょ。
時代のニーズに合わせて、そのつど新しい技術や味わいが生み出されていくんですねぇ。

2005年に発表された奥の松酒造(福島県二本松)の『全米酒』は、吟醸や本醸造に使用される「醸造アルコール」を、自社の純米酒を減圧蒸留した「米スピリッツ」にかえたものだ。
一般に使われる「醸造アルコール」は、連続式蒸留器で造られる香味成分の少ないホワイトリカーだが、『全米酒』は、自社の純米大吟醸、純米吟醸、純米酒を単式蒸留器で蒸留した、いわば、本格米焼酎を使用する感覚だ(アルコール度数が高いのでスピリッツ扱いになる)。減圧蒸留なので、淡麗ですっきりクリアな味わいがポイントになる。

米の蒸留酒をもろみにブレンドするので、純米酒のような純米酒でないような・・・ということで、名づけられたのが『全米酒』。『ぜんまいしゅ』で『ぜんべいしゅ』ではないのでご注意。とうとう奥の松も全米デビューか・・・って、それ、違いますからね。すでに奥の松、アメリカで人気ありますからね。

しかし意外になかったんだなぁ、こういう造り・・・。


純米吟醸、純米大吟醸の米スピリッツで華やかさ倍増!


全米大吟醸
720ml 2,100円(税込)

2006年には、この「全米方式」で大吟醸と大吟醸雫酒を発売した。それぞれ、純米吟醸、純米大吟醸を自社蒸留したスピリッツを使用した。まあ、贅沢。
実際に味わってみると、米スピリッツのシャープさがより引き締まった舌触りで心地いいドライ感を楽しめるのと、なにより、華やかで上品な吟醸香がとても魅力的だ。

なんでも、この米スピリッツはほかの米焼酎と比べると香気成分が3~10倍なのだとか。どうりで、マスカットやヴィオニエ、アルバリーニョ、ゲヴュルツトラミネール系のアロマティックな品種を使ったワインのようにフルーティーでフローラルな芳香だ。これならワイングラスで楽しみたい。フルーツソースを使った魚介類や、チーズたっぷりのパスタ、もしくは個性の強いロックフォールチーズなどには、すばらしいマッチングを見せる。さらにシフォンケーキや小豆を使った和菓子などスイーツとの取り合わせもいける。


全米吟醸 1800ml 2,394円(税込)
       720ml 1,092円(税込)
       300ml 473円(税込)
クリスマスから年末年始にかけてのテーブルには、スパークリンググラスに『全米酒』のソーダ割りはいかがだろう。奥の松オリジナルのボトルもお洒落度が高いので見栄えもいい。

華やかでいてドライ、オーセンティックでありながらスタイリッシュな『全米酒』は、吟醸・純米のように新しい時代を切り開くジャンルとして定着していくだろうか。2007年注目していきたい。


奥の松酒造株式会社
  0243-22-2153
  福島県二本松市長命69

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