すべて一合。飲みきりサイズ。でも13本あると1升3合分にもなる・・・
セットはこの箱にはいっている。 |
高山の朝市や重要伝統的建造物に指定されている江戸の町並みなど、人気の観光地で、私もずいぶん前に訪ねたけれど、風情のある景色は今でも鮮明に覚えている。
みたらし団子をほおばりながら、どの地酒をお土産にしようか、あれこれ迷ったことも、ああ~、よく覚えてるな~。
この郷愁たっぷりの飛騨の、なんと地酒蔵元ばかりが集まって味比べセットを作ったとのこと。それも人気の1合サイズ。参加蔵は13蔵。13本のセットでも買えるし、1本ずつでも買うことができる。
企画&セット名は、題して『飛騨の地酒 銘酒十三撰』。
13本入りで6300円(税込み)。1本330円~600円と手ごろだ。
ちゃ~んと13本入っている。こういう並べ方があったのだな・・・ |
届いた箱はサイコロのような真四角。正直「13本って、中途半端な数でどうやって一箱にするんだ?」などと思っていたのだが(なにせ12本が1ダースというのがこの業界の常識だからね)、開けてなるほど、四角を斜めに仕切ればきれいに13本入るのであった。
ボトルは淡いブルーボトルで統一。それぞれの蔵の個性あるラベルが色とりどりで印象的だ。
13蔵をイッキ飲み!テイスティング結果はこれだ。
さて、中身の13蔵とそれぞれの情報は以下のとおり。蔵元名は、写真の左からの順番になっているので見比べてみてほしい。
蔵元(写真左より) | 銘柄 | 造り | 日本酒度 |
---|---|---|---|
大坪酒造店 | 神代 上澄 | 吟醸酒 | +5 |
蒲酒造場 | 白真弓 | 本醸造 | +2 |
渡辺酒造店 | 蓬莱 | にごり原酒 | -10 |
天領酒造 | 天領 | 純米酒 | +4 |
高木酒造 | 奥飛騨 | 純米吟醸原酒 | +3 |
原田酒造場 | 山車 | 純米吟醸 | +4 |
平田酒造場 | 蔵酒 | 原酒 | 0 |
舩坂酒造店 | 深山菊 | 大吟醸 | +4 |
老田酒造店 | 鬼ころし | 純米酒 | +3.5 |
田辺酒造場 | 岳の雪 | にごり酒 | -8 |
平瀬酒造店 | 久寿玉 | 純米吟醸 | +2 |
二木酒造 | いちい 玉の井 | 大吟醸 | +2 |
川尻酒造場 | 天恩 | 熟成古酒 | 非公開 |
飲みましたよ。全部。比べてみました。
で、テイスティング感想はこんな感じ。
- 神代 上澄・・・・・・吟醸らしく華やか。白桃のような上品な香り。原酒だけどソフト。きれいな造り。アフターはドライであさっり系。
- 白真弓・・・・・ややコクあり。昔懐かしい日本酒の味わいといった風情。お燗に向きそう。
- 蓬莱・・・・・とろみのある濁り酒。甘酒のようなコクとうま味。でも全体には優しいバランス。アフターがドライでミルキー。かみ締めたいような舌触り。後を引く。
- 天領・・・・・純米らしいピュアなお米の風味。非常に優しく洗練されている印象。ソフト&ドライ。食事の最初に飲みたい感じ。
- 奥飛騨・・・・・純米酒らしい炊き立てご飯、つきたてお餅のような香り。穏やかな吟醸香。後味にヨーグルトのような心地いい酸味とうま味が。
- 山車・・・・・花酵母使用。華やかな香り。あっさりソフト。ミネラルウォーターのような瑞々しさ。軽いタイプ。
- 蔵酒・・・・・純米酒らしい。おだやかながらやや骨太でコクを楽しめる。アルコールが高いけどぴりぴりしない。お燗向き。
- 深山菊・・・・・華やか。果物のような甘さと艶。食事の最初に。
- 鬼ころし・・・・・「鬼殺し」というイメージとは違いすっきりあっさり淡麗辛口。むしろマイルド。ご飯やあられのような純米酒ならではの風味も。
- 岳の雪・・・・・とろみの強い濁り酒。桃のネクターのよう。が、味わいはややドライ。アルコールがしっかりあるので刺激もある。
- 久寿玉・・・・・品のいい吟醸香。りんごやバナナの華やかさ。クリーンな印象。純米のわりに艶がありなめらか。
- いちい 玉の井・・・・・大吟醸らしい華やかさ。滑らかで艶があり研ぎ澄まされた感じ。最初に飲みたい。
- 天恩・・・・・2001年ものの熟成酒。そのわりに色は透明。熟成風味は軽めで、さっぱり優しいが、アフターにはしっかりうま味が長く残る。燗にもいいだろう。
この13本に飲む順番をつけるなら、
最初に、「神代 上澄」「山車」「鬼ころし」「深山菊」「いちい 玉の井」
中盤に、「久寿玉」「奥飛騨」
終盤に、「白真弓」「蔵酒」「天恩」
食前にも食後にもいけるのがにごりの、「蓬莱」「岳の雪」
・・・という感じだろうか。
もちろん、順番にではなく一気に飲み比べもいいだろう。
昔、飛騨の地酒を飲んだときには、ずいぶん「甘い」、かなり「コクのある」、「しっかり重い」味わいだったと思ったけれど、今はやはり少し軽めの仕上がりにしているのかな。
とはいえ、あれこれ飲み比べしてみると、飛騨らしい朴訥とした素朴なうま味がじんわり口中に広がるようで、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる。
冷やで飲むなら、飛騨特産の「赤カブ漬け」や「そば」と。お燗なら「鮎やあまごの塩焼き」。「朴葉みそ焼き」でじっくりやるのもいい。
さらに、なんと飛騨では、チョリソや生ハムのような肉の加工品を造っているのだとか。おお、まるで、スペインやイタリアの山岳地方のようではないか・・・。確かに飛騨牛も有名だし・・・。これでヌル燗やりたいものだなぁ。意外に合うのではないかと食いしん坊な想像を膨らませた。
全部並べると壮観! |
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