最近少しずつ見かけるようになった女性杜氏のお酒や、飲んでも美味しい料理酒などを発見したぞ。
会津若松、鶴乃江酒造、女性杜氏が醸す「ゆり」
会津若松の「鶴乃江酒造」が力を入れる銘柄が「純米大吟醸 ゆり」と「純米吟醸 ゆり」だ。ブルーのフロスティーボトル、桃色や水色のラベルにはやさしい文字で「ゆり」と描かれている。清楚で透明感のあるインパクト。まさに女性杜氏のお酒という印象。味わいも清らかで繊細だ。ゆりさんは当家7代目林平八郎氏の長女で97年に女性向けとしてこの「ゆり」を発売した。
ブルーに桃色の文字。まるで桜の花が散っているような可憐なラベルだ(=左) こちらは落ち着いた印象のラベル(=右) |
最近全国的に女性の造り手さんが増えてきた。昔は、酒造りは男の仕事、女人禁制はあたりまえだったが、時代とともに酒蔵の考えやありかたが変わってきている。女性の繊細さや優しさ、まじめさ、気働きはお酒造りにとってきっと有用だと思うし、日本酒のあたらしい面が生まれるきっかけにもなると思う。女性を受け入れてくれる男性たちにも感謝したいところだ。
・・・などと考えながらブースを眺めると、なんとも男くさいラベルが並んでいるのに気がつく。もちろん同じ蔵元さんだ。うう~ん、まるで相撲の番付表にかかれる文字のように力強いぞ。「会津中将 純米酒」。名前も力強い。「中将」とは昔の官位の名前だと詳しく説明してくださるのはセールスエンジニアの佐藤さん。由緒正しいお家柄のようだ。純米原酒の味わいは、しっかり米の旨味がのった濃醇で骨格のあるタイプ。しかし後味はすっといやみなく消えていき飲み飽きしない。もちろんお燗もいいだろう。ラベルの印象どおり一本筋の通った男酒といった風情。じっくり腰を据えて飲みたいお酒と感じた。
同じメーカーでもこんなに男くさいラベルもある(=左) 私好みなのがこちらの純米酒たち。飲み飽きしない男酒(=右) |
ひと皮剥いたらおっさんといわれるこのワタクシ(剥かんでも・・・とも言われるが)には、どうも繊細な「ゆり」より「中将」のほうが相性がいいようで、いやはやなんとも・・・だ。
郡山、仁井田本家の料理酒「旬味(しゅんみ)」は驚くべき美味しさ
「金寶 自然酒」(=左),福島県独自の酒米 「夢の香」を使った「穂の歌 ほのか」(=右) |
1711年より酒造りを続ける「仁井田本家」は、農薬、化学肥料をいっさい使わない自然米だけを用いることで知られている。自社田は社員総出で世話をするのだとか。
銘柄名も「金寶 自然酒」。手塩にかけたナチュラルな米と阿武隈のミネラル豊かな水に育まれた味わいは、なめらかさとまろみと厚みが感じられる安心感のある飲みごこちだ。
濃醇旨口の純米料理酒 「旬味(しゅんみ)」 |
さて、この蔵が醸すもう一つのおすすめが、実は料理酒。名前は「旬味(しゅんみ)」。料理酒らしからぬ品のいい落ち着いたニュアンスのラベルもいい。自然米をベースに、アルコール17度、天然アミノ酸が一般料理酒の8倍に仕上げた。他の料理酒のように妙なべたつきはないし、純米酒なのでそのまま飲んでも結構イケルところがすごい。
「ご飯を炊くときにキャップ半分入れてみてください。ごはんが生き返ります。持ちがよくなるし寿司飯にしても味がグッと引き立ちます」と営業部長の柳沼さん。これは早速試したいとウズウズしてくる。最近土鍋でご飯を炊くのが趣味のワタクシですから、美味しさ倍増に期待してしまう。
福島のお酒、恐るべし、なのだ。