おすすめ小冊子『盗み吟醸』。 心あたたまる民話がいっぱい。 |
たとえば「盗み吟醸 秘伝」編は、タイトルが「精を放つ」。
あらすじはこうだ・・・【 孝吉は酒造りがうまかった。十本仕込めば、一、二本は失敗という時代、決して失敗しなかった。孝吉秘伝の方法は、生米から手間暇かけて造る“菩提もと”を竹筒に詰め、もとすりで造った“生もと”に差し込み、水鉄砲よろしく打ち込む方法。そう、まるで“菩提”は男、“生もと”は女のように。男の精を女に打ち込めばきっといい「もと」が生まれると信じていた。そのとおり、“生もと”はまもなく膨れ始め、やがてはじける。百発百中だった。精を打ち込むとき、孝吉自身も精を放ったような快感に浸る。そこだけは誰にも教えなかった。 】のだとさ。
この孝吉の秘法は、南蔵王の山すそにある小さい酒蔵でおこなわれている「差しもと」という酒母技法のことで、これは酵母が発見される前にあった、いわゆる微生物工学のお話なのだ。
もちろん、小さい酒蔵とは『盗み吟醸』の生みの親、山形、高畠の米鶴酒造のこと。本当の話なのだろうか、こんな風に描かれるとグッと興味をそそられる。
【 米鶴『盗み吟醸』 】 |
雪国育ちの色白美人 |
こんな美人を生み出した、孝吉さん、あんたはえらいっ!
元禄創業の伝統を基盤に造られたお酒はもちろん、風光明媚な『まほろば』(山や丘に囲まれた真に美しい優れた場所をさす万葉の言葉)で生まれた、かずかずのお話も実に心に残る逸品だ。飲めば飲むほど、おもわず民話の世界に入り込んでしまう。
この清らかな味を生かすには、繊細な旨みの絹ごし豆腐をつかった湯豆腐を合わせたい。燗にした「雪国美人」は、もちろん、人肌できまり。
孝吉さん、いっしょにやりませんか? もっとお話聞かせてくださいよ。
『盗み吟醸』 1.8L 3,620円 720mL 1,715円 300mL 670円 米鶴酒造株式会社 山形県東置賜郡高畠町ニ井宿1076 電話 0238-52-1130 |