今回の気になる蔵のご主人、十五代目久野九平次さんは元モデルらしい。
本当かどうかはわからないが、確かに、雑誌やHPでお見受けするお姿は、若くて、すらっと長身で今風の素敵な方。うん、モデルであったとしてもおかしくない。
それに、稼業の蔵を継ぐ際に、日本酒づくりの仲間として連れてきたのは同級生や全く畑違いの若者たちという。このバックグラウンドが面白いではないか。


私のイチオシ『醸し人九平次 純米吟醸 雄町』



チャンスがあれば飲んでみたいと思っていた矢先、運命の出会いは大塚の居酒屋さんで始まった。『醸し人九平次 純米吟醸 雄町』の、まずはインパクトのあるラベルに驚いた。印象的な名前を、濃くて力強い筆字で描いている。
文字のバックにある「雄町」のデザインもしゃれており、なんとセンスいい・・・と感激。

注がれたグラスを口に近づけると、嫌味のない吟醸香と洋ナシのようなみずみずしい香りが鼻腔をくすぐる。口に含んだ瞬間、なめらかさと爽快感がパアっと広がり、味わううちに「雄町」らしいコクと旨味が感じられ、カシュウナッツやアーモンドのような、いや、まるでチーズケーキのような、何とも言えないふくよかさが口中に広がってくる。余韻も長く心地いい。
なんというバランスのよさ。甘味、酸味、コクのハーモニーが実に素晴らしい!

ああ、この一口以来、どうやら、私は九平次に恋をしてしまったみたいだ。
それ以後、九平次のラベルを見るたびなぜか心はドキドキ、おめめはクラクラ、ため息まじりに注文するようになっちゃったのだ。
もちろん今では、我がワインバー・アルファにも一升瓶で揃えてある。
ちなみに、『純米吟醸 山田錦』はより甘い香りが強く繊細な印象。
例えるならストロベリー・ショートケーキ。
辛口で切れがいいのでアペリティフにもお勧め。

限定品の『袋取り斗瓶囲い 大吟醸』は手間暇かけた逸品で、艶と華やかさを楽しめる。こちらはフルーツ・パフェといったところか。
うちではシャンパーニュ・グラスでサービスしている。


『醸し人九平次 純米吟醸 山田錦』

後ろのおバカづらはアルファのソムリエ君



どの銘柄にも感じられるのが洗練された「品のよさ」。
私は殊のほか「品格のあるもの」に弱いのだ。蔵のモットーは「気品・やさしさ・懐しさ」らしいが、全くそのとおりの出来栄えで感心する。
この「品」はどこから来るのだろう。
この美味しさはどうやって生まれるのだろう。
当然、お米や水は厳選しているだろうし、伝統の技と新しい技術は駆使しているはず。品質管理だって気を配っているだろう。だけど、そんなのどこの蔵元さんだってしていることだ。

恋した(!)女の勘からいくと、九平次氏や同級生だという杜氏さんの「センス」がいいのじゃないかと思うのだ。具体的にこの技術が・・・というのではなく、「醸し」の端々に必要なタイミングとかバランスとか按配みたいなものを見極める「センス」が、いわゆる「イケてる」のではないかと思うのだ。いや、絶対そうに違いない。

醸造の教科書には載ってない、ちょっとしたこの「醸しのセンス」「醸しの感性」が「イケて」なければ、一口で一目惚れさせるようなお酒は生まれてこない。
恋する女の勘は、鋭いのだよ。
あああ、やっぱり醸し人たちに会ってそのあたりぜひ確認したいものだな~。


超限定品!!『醸し人九平次 大吟醸 袋取り斗瓶囲い』

ラベルの文字の赤色が印象的。シャンパーニュグラスに入れて



萬乗醸造 TEL:052-621-2185

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