このうち第一、第二、第三次審査をクリアして見事大賞に輝いたのは、同県出身の
中野知昭さん25歳。越前塗りの片口とぐいのみは、深く繊細で奥ゆかしい輝きと、なにより、片口の底に貝で描かれた二尾の若鮎が、日本酒を注ぐことによって、ピチピチと跳ねるように見えるところが、審査員全員の目を釘づけにした。
作品名は「酔香の時間」。新鮮な鮎はスイカの匂いがするといわれることから「スイカの」と読ませる。「25歳らしい若々しさとエネルギーの現われ」とは審査員代表、金沢美大教授久世健二氏の言葉。ちなみにこの作品、セットで72000円。量産でき、実売を想定しているところも「実用性」を目的とするこの会らしいところ。
この他、金賞にはオコゼとサザエをかたどったユーモラスでデザイン性あふれる陶器「海鮮酒器」。銀賞には、夕焼けをイメージしたガラスセット「空模様」、他3点。
何を隠そう、ワタクシ友田も審査員の一人として参加したのだが、大賞の漆の器は第一次審査よりイチオシ。大賞に選ばれ、ホッ。私自身の審査基準は、現実に使えるものかどうかと福井のお酒の特徴である、繊細さとまろみをいかした作りかどうかという点。漆の器は、この両方にプラスして、美しさと驚きが加味されており、言うことなし!
なお、2月10日まで出品作品すべての展示、入場者による人気投票、地酒利き酒大会、授賞式が行われた。※受賞作は販売中。詳しくは次回に。