日本酒/日本酒の選び方・楽しみ方

酒の器展、大賞は25歳男性漆師

銘酒の里、福井県「(財)金津創作の森」が主催する「酒の器展」が全国公募による酒器の展覧会を開いた。全555点の中から大賞に輝いたのは、地元越前塗りの漆器でつくられた片口とぐいのみのセット。作者は福井県出身の25歳。新進気鋭の若手漆師だ。日本酒を注ぐと、片口の底に描かれた若鮎がきらきらと輝きだす様はため息もの・・・。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

焼き物やガラスなどクラフトアーテイストたちに生活と創作の場を提供することを目的に作られた福井県「(財)金津創作の森」。銘酒の里でもあるこの地で、第一回「酒の展」が開かれた。主旨はアート性の他に「実用性」。展覧会に見られがちなオブジェ的指向ではなく、生活に密着したクラフト作品の育成にあるところがミソ。全国から出品された作品数は酒器とぐいのみのセットが555点。素材は陶器、ガラス、漆器とさまざま。参加者も男女20歳代から60歳代までとこれまたさまざま。

このうち第一、第二、第三次審査をクリアして見事大賞に輝いたのは、同県出身の
中野知昭さん25歳。越前塗りの片口とぐいのみは、深く繊細で奥ゆかしい輝きと、なにより、片口の底に貝で描かれた二尾の若鮎が、日本酒を注ぐことによって、ピチピチと跳ねるように見えるところが、審査員全員の目を釘づけにした。


作品名は「酔香の時間」。新鮮な鮎はスイカの匂いがするといわれることから「スイカの」と読ませる。「25歳らしい若々しさとエネルギーの現われ」とは審査員代表、金沢美大教授久世健二氏の言葉。ちなみにこの作品、セットで72000円。量産でき、実売を想定しているところも「実用性」を目的とするこの会らしいところ。


この他、金賞にはオコゼとサザエをかたどったユーモラスでデザイン性あふれる陶器「海鮮酒器」。銀賞には、夕焼けをイメージしたガラスセット「空模様」、他3点。


何を隠そう、ワタクシ友田も審査員の一人として参加したのだが、大賞の漆の器は第一次審査よりイチオシ。大賞に選ばれ、ホッ。私自身の審査基準は、現実に使えるものかどうかと福井のお酒の特徴である、繊細さとまろみをいかした作りかどうかという点。漆の器は、この両方にプラスして、美しさと驚きが加味されており、言うことなし!


なお、2月10日まで出品作品すべての展示、入場者による人気投票、地酒利き酒大会、授賞式が行われた。※受賞作は販売中。詳しくは次回に。









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