シンガポール料理は多面性あり
最後に、櫔原さんに今後の夢を聞いてみると、真顔になり、静かに、そして情熱を込めてこう答えた。「シンガポールを広げたナンバー1になりたい。シンガポール料理がタイ料理と同じくらいのマーケットになれたら。」
多民族国家であるシンガポールは、多くの引き出しをもった国。料理も多面性を持つ。いまひとつ特徴がない国とおもうかたもおられるかもしれないが、シンガポールには海南鶏飯という日本人の口にも合うと思われる看板料理がある。
わたしはここでふと、カレーの名店である「デリー上野店」を思い出した。こんなふうに書くと誤解が生じるかもしれないが、デリーはインドのカレーをそのままではなく、店独自にアレンジした日本生まれのカレー専門店である。でもその味わいはカレー好きをも魅了する納得の味。「シンガポール海南鶏飯」も、日本におけるカレーならぬシンガポール料理の歴史のパイオニア的存在になるのではないか。日本のシンガポール料理の夜明けの近さを感じながら、ひとりほくそ笑んでしまった。
|
100席ある落ち着いた雰囲気の恵比寿店。個室もあり、接待にも最適だ。そうそう、各店の店長たちについてもつけくわえておかなくては。彼らはひとことでいうならば、シンガポールのよきガイド。シンガポール料理のことを熟知しているので、尋ねると面白い話がたくさん聞けますよ。店舗によって雰囲気が違うので、お気に入りのお店を探すのもまた楽しいのでは。
余談だが、先日シンガポール政府観光局のイベント(詳しくはこちらをご覧ください)で初めて櫔原さんとお会いしたとき、「デモンストレーションのときの包丁さばきは素晴らしかったですね。料理をされるのですか?」といささか失礼な質問をしたら、「私は、以前代官山のフランス料理店で修業をしていたんですよ。辞めるころにはフォアグラなども扱わせてもらえるようになって…」との言葉が返ってきて、ビックリ。
「えっ、代官山のフランス料理店って、あのお店ですか!?や、やっぱり手つきが違いますものねぇ…」思わずしどろもどろになってしまったのだが、なるほど。この店のメニューアレンジが違和感なく調和しているのは、味をきめるスタッフの経験とセンスの賜物だったのね。
■「シンガポール海南鶏飯」
詳細はコチラをご覧ください。