エスニック料理/食にスポットをあてた旅

モンゴルの草原暮らしの食生活【2】(3ページ目)

モンゴルで「赤い食べもの」と呼ばれる、おもに晩秋から冬、春にかけて食される生命の源をご紹介。

佐藤 わか子

執筆者:佐藤 わか子

世界のおうちご飯ガイド

遠赤外線効果を利用した豪快な野外料理

羊のハルホグ
羊肉のホルホグ。この家庭では鍋に羊肉、玉ねぎ、焼き石を交互に入れ、塩とロシア産のハーブミックスを入れて作っていた。水分がなくなるまで1時間くらい火にかける。
モンゴルを代表する伝統的な家庭料理といったら、羊肉を塩茹でした「チャナスンマハ」だが、祝い事や野外料理でふるまわれる草原のご馳走料理といえば「ホルホグ」である。ゲルのお宅におじゃましたときは必ずどの家庭でもこの料理で迎えられた。

鍋や牛乳缶に屠殺したばかりの羊や山羊の肉をいれ、玉ねぎ、じゃがいも、人参(家庭によっては玉ねぎだけのところもあった)、そして熱々に焼いた石を入れて密閉し、長時間かけて蒸し焼きにする豪快な料理である。味つけは塩だけ。今日は特別にロシア産のハーブミックスを入れたわ、という家庭もあったが、基本的には塩だけでいただく料理だ。

ホルホグ&圧力鍋
こちらは圧力鍋を使用。最近では多くのゲルで使われているようである。肉のほかにじゃがいもと人参を入れて作る。味つけは塩のみ。水分は残したままで仕上げていた。
この料理の特筆すべきは、何といっても焼き石を入れるところであろう。焼き石は熱が柔らかく均質であるばかりか、遠赤外線効果も加わるので、熱が食材の奥深くまでじんわりと浸透し、肉質に適度な弾力を残しながらもしっとりとやわらかく仕上がる。

肉は部位によってそれぞれ違ったおいしさを楽しめるのだが、どの部位も骨のまわりが一番旨い。骨についた薄い膜も歯でしっかりとこそぎとり、骨がつるつるになるまできれいに食べないとおいしさが半減してしまう(ように思った)。私はこの料理に出会うたびに、ビーバーのように大量の骨をひたすらカリカリとこそいで食べていたのだが、この地を離れる日の朝方、なんと下アゴがちょっと前に突き出た自分の夢を見たのでした・・・。食べすぎ?!

次のページで山羊のホルホグの写真を紹介。
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