インドならではの、体に優しいアペリティフをぜひ!右はミントがたっぷりはいったクミン風味の「ジャルジーラ」500円。左は自家製ヨーグルトに野菜やスパイスがはいった「チャース」500円。席につくと、インドのアペリティフとワインリストが渡される。メニューを見ると、珍しいインドの飲み物がちらほら。ここでぜひ目に留めていただきたいのが、「ジャルジーラ」と「チャース」だ。ジャルジーラは、たっぷりのミントをベースに、クミンなどのスパイスでアクセントをつけたもの。塩味が強く、個性的な味わいだが、これを飲むととたんに胃がスーッとし、体がスパイス料理をはやくはやく!と所望しはじめる、なんとも不思議な飲み物だ。一方「チャース」は、自家製のヨーグルトに野菜とクミンなどのスパイス、香菜、しょうがなどが入ったもの。口に含んだ瞬間、ヨーグルトのまろやかさが口の中を包み込み、その後からスパイスの香りがふわっと広がる。これからいただくスパイス料理を、胃で優しく受けとめてくれるかのような体に優しい飲み物で、飲んでいると自然と気持ちが安らいでくるのが感じられる。ジャルジーラもチャースもグラスに美しく注がれ、アペリティフとしてはとてもシャレている飲み物だ。アペリティフといっても、フランスのベルモットのような食前酒ではなく、ここでは両方ともノンアルコール。食欲を増進させ、胃も保護してくれる食前酒がノンアルコールとは、さすが民間医学のアーユルベーダを基本として料理が作られている国。食前の飲み物として最高の一品といえるだろう。この1杯の飲み物だけで、これからの料理に期待がぐんぐん膨らんだ。インドの超高級ホテルオーナー「オベロイ家」のレシピを日本で再現!ココナッツミルクとタマリンドが調和した「ゴア風エビカレー(ゴア・プローン・カレー)1,600円」。カレーは辛さ調節が可能。好みで辛さを増してもらっても美味。料理は、ひとことで言えばどれも洗練された透明感のある味わい。その繊細さには驚くばかりだ。聞けば、料理人はインドの超高級ホテルのオーナーである、オベロイ家の専属料理人と、オベロイ家が経営するインドの五つ星ホテル出身の料理人が腕を振るっているのだという。中でも父とともに腕を振るっていた専属料理人は、オベロイ家の健康と長寿を願い、塩、油、スパイスを控え、毎日飽きずに食べられるように料理を編み出し管理してきたそうだ。と聞くと、料理はさぞパンチがなくてあっさりとしているのでは・・・?なんて思ってしまうかもしれないが、そのへんのところはご心配なく!口当たりのやわらかさに安心していると、一瞬のうちに後からじわりじわりと味蕾を刺激する辛さに翻弄されてしまうほど、あなどれないパンチがあるのだ。といっても、辛さはとても上品である。まるで空中をふわふわと浮かび、やがてスッとはじけて消えていくシャボン玉のように、濃厚な旨みがゆっくりと口の中をめぐったかと思うと、辛さがじんわりとやってきて、いつのまにか体に吸収されていく・・・。そんな印象を受ける。前のページへ123次のページへ