店内に入り、すぐ目に飛び込んでくるのは、オープンキッチン。
「お客さまに調理しているところを見られても恥ずかしくないように作っているので、わざわざオープンキッチンにしたんですよ。」と、常に台ふきんを持つ手を動かしながら、こうおっしゃるのは、女性モンゴル人シェフのナーリンさん。
調理場が見えると、ライブ感があって楽しめるものだが、それ以上に効果的なのは、羊を調理しているときの芳しい香りが店内いっぱいに広がるところ。香りはおいしさを誘う最大の演出。この段階で、美味しさの一部を感じることができる。
言い忘れていたが、ナーリンさんの行動からお察しのとおり、店内は素朴ながらとても清潔感に満ちている。
モンゴル人の羊の食べ方に脱帽!
チャナサンマハ100g315円(羊の旨煮)。最もポピュラーな料理。ニンニク風味のタレにつけていただく。 |
店で使う肉はすべて羊肉。モンゴル人にとって、日本産の羊は旨みが少ないと、この店ではオーストラリア産を一頭(頭なし)仕入れている。
モンゴルの代表的な料理は、チャナサンマハ(羊肉の旨煮)100gあたり315円。骨付きの羊肉を塩茹でしただけの料理だが、調理法がシンプルなだけに、火加減、肉質のよさ、塩加減などがおいしさを左右する料理だ。
故郷(ノタガ)のチャナサンマハは、一番美味しいといわれる背肉、骨付きバラ肉、お尻の肉を使用。肉質がしっとりとしていて甘みがあり、特有の香りも適度に楽しめる。塩加減も絶妙だが、何よりも脂の旨さに驚く。味わい深いのに軽くて上品なのだ。羊肉は脂身が一番香りが強く、力量が問われるところだが、ここのチャナサンマハはお見事!
食べ方は皿に添えられたナイフで削ぎ、手で食べ、骨についた肉はほおばる。これがモンゴル流の美味しい食べ方だ。ぜひともここは恥ずかしがらず、ガブリと豪快にやっていただきたい。きっと遊牧民の気分?!を楽しんでいただけるかと思う。(ちなみに、モンゴル人は骨と身の間の肉は歯でこそぎ、余すところなくきれいに食べている。)羊肉は冷めると脂が固まってしまうので、なるべく温かいうちにいただくことをおすすめする。
ハロントゴ(羊肉の鍋)2人前3980円。羊のエキスたっぷりのスープにナツメ、クコの実などが。羊肉や野菜をいれていただけば、体の芯からポッカポカ! |
もも肉と背肉のロース肉に、熱した石をジュッと入れて、茹で焼きする草原料理。焼石の赤外線効果で柔らかくなった肉に、少し焦げた香ばしさが加わり、ピリッと効いた辛味が食欲をそそる。
豪快にカットしたジャガイモとにんじんも野性味があって嬉しい。
ハロントゴ(羊肉の鍋)2人前3980円も、注目の一品。
羊の旨みが溶けだしたゆで汁に、ナツメ、クコの実などをいれた特製スープに具をいれていただく鍋。
あっさりしていながら、後からじわりじわり感じる、スープの濃厚な旨みに驚かされる。〆は自家製のうどん?餃子の皮?のようなものを、みんなでワイワイいいながらちぎっては投げ、ちぎっては投げて楽しむことができる。