「イズミル」
以前の板橋にあったときのアットホームな雰囲気に比べ、しっとりと落ち着いた外観。店頭には花や調度品が置かれ、センスが感じられます。
ドアノブに手をかけたとき、板橋のときと同じように入店前の胸の高鳴りを覚え、また期待に胸が膨らみました。
後にスタッフのエリフさんからうかがったのですが、開店当初はシェフのスレイマンさんが不慣れで余裕がなく、料理を楽しめなくなったときもあったのだそう。1ヶ月たったいま、やっとお客さんの呼吸が少しずつわかってきて、楽しめるようになったのですって。
はじめて以前のお店でパン(エキメッキ)をいただいたとき、トルコを彷彿とさせる香りと食感に感動したことを覚えていますが、移転したいまでもあの味は変わらず残っていました。
このお店のエキメッキは冷めても硬くならないふわふわモチモチタイプ。東京ではめったに食べられないタイプでしょう。食べ応えがあって力強い。一度食べたら忘れられません。
小麦粉料理の場合、かみ締めるほどに味に変化がある、生地のしっかりとしたものがわたしは好きなのですが、ここでは生地の食感が楽しめつつ、鼻腔にぬける粉の芳醇な香りまでもしっかりと楽しめるので、余韻がより一層印象に残ります。
これまで小麦粉料理を強調してきましたが、それだけにとどまらず他の料理にもぜひ注目していただきたいとおもいます。
なかでも印象的なのは前菜(メゼ)。オリーブオイルの量が絶妙で、野菜のみずみずしい食感やぬめり、苦味などがうまく調和され、遊牧民の力強さと帝国時代に皇帝が愛した洗練された料理を彷彿とさせます。
ただ、ここでひとつ申し上げておきたい点がひとつ。
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写真中は、エキメッキ
写真右下は、本日のデザート“ヘルワ”