大阪グルメ/大阪のフレンチ

コンヴィヴィアリテ (大阪・新町)(2ページ目)

約17坪という小さなメゾンながら一つ星を獲得した「コンヴィヴィアリテ(Convivialite)」。その多様な魅力の数々を御紹介いたします。

執筆者:麻生 玲央

ディナーコースより


・アミューズ 2種
アミューズ。 アミューズ2。
まずはアミューズが2種、供されます。こちらは玉子を使った一皿目。 どれもアミューズとは思えない程、手間と時間のかかった逸品が続く。
まずはアミューズが2種、続けて登場です。一品目は「なめらかなスクランブルエッグ、トマトのクーリ、フォアグラ」、2品目は「お芋に詰めた葱のグラタン、キャビア、パセリのソース」、という内容。一品目の「なめらかスクランブルエッグ」は、ルックスだけだと「ウフ・ア・ラ・コック」のようですが、中身は全く違っており、フォアグラ風味のムースに、トマトのクーリを程良くアクセントとして利かせた逸品となっています。一口、食べ始めると止まらなくなるような、滑らかテクスチャと甘味と酸味の整った調和感が、スターターとしては最高の余韻を残してくれました。

続く2品目の「芋」と「葱」を使ったグラタンも、単なるグラタンではなく、キャビアの塩味とパセリソースの青味、そしてグラタンソースの中に忍ばせたベーコンのコクが相まり、アミューズとは思えないほどのクオリティの高さが伺えます。エクセラン!


・前菜
北海道根室産サンマのデクリネゾン。
北海道根室産サンマのデクリネゾン
そして、今回のコースの中で、もっとも感激したのが、この料理。もはや、その完成度の高さから考えれば「前菜」というよりも「魚メイン料理」と言ったほうがいいでしょう。盛り付けの美麗さにも驚かされますが、真に驚くべきは、その内容。実はこの料理、全てが「サンマ」のみで仕上げられているのです!

料理名のデクリネゾン=活用変化とあるように、サンマの「骨」以外は「肝」も「皮目」など全ての部位が使用してあり、それぞれの部位が「ソース」や「リエット」、「燻製」に姿を変えて登場しているわけです。

例えば、サンマのマリネに使われているマヨソースにはちゃんと「肝」が混ぜてあり、円やかな苦味が加味され、マリネされたサンマの旨味をグッと引き立てますし、皮目だけを串に巻き、焼き込まれたものは、その香ばしいサンマ香と共にパリパリの食感が楽しめ、どれを食べても、サンマ尽くし。一皿の上で、一つの食材だけを使い、ここまで丁寧に手の込んだ前菜に仕上げられるシェフの卓越したセンスと才気には素直に脱帽ですね。

特に、サンマを使った「リエット」は、ねっとりとした食感の中に、纏まった旨味エキスが凝縮されており、これまた類い希な味わい。これは全国のサンマ好きの方々には是非食べていただきたい! とすら思えた逸品です。

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